俺たちは"あのふんどし"を忘れない
第1章
おれの名前はドラゴン右田
山に住んでいるホームレスだ。
「もう秋か」
松茸の匂いで秋を感じた
おれは常に山にいるから今がいつなのか分からない
「ぴよぴよ」
肩に小鳥が止まった
「あぁコザクラインコが肩に」
そのままおれは意識を失った
うぅ...
気持ちが悪い
なるほど、さっき食べたきのこが毒きのこだったのか
「あれ」
さっきのコザクラインコがまだ肩に止まっている
「ぴよぴよ」
いやまてこいつよく見たら文鳥だ!
さっきの鳥と違う
そう、おれは気絶をしている間に
鳥の溜まり場になっていた
「もう山なんてこりごりだ、地上に帰ろう」
そうおれは決意した
第2章
数年ぶりの地上、あの日おれは現実世界から逃げた
壮絶ないじめ、辛かった
そんな時、おれは一匹の鳥に出会った
その鳥を追いかけて行くといつの間にか山に迷い込んでいた
そしておれはホームレスになった
そこからの生活は楽しかった
人間関係に怯えることもなく
動物たちと生きてきた
「たのしかったなぁ」
ただ、このままじゃダメだ
いつまでも現実から逃げてても
後戻りできなくなる
「家に帰るか」
おれは今、おそらく二十歳そこらだろう
両親にも心配かけただろうな
そして記憶を頼りに家に帰った
『ピンポーン』
『ガラッ』
開かれた実家のドアの先には見知らぬ男が立っていた
「宗教団体~コポペルニア王国栃木支部~になにか御用ですか?」
そう男は言った
「い、いやここっておれの家じゃ...」
男はおれに微笑みかけた
「なにかに迷っているのですね、とりあえず中に入りなさい」
中に入ると完全にリハウスされていて
信者たちが共同生活をしていた
「私たちは旧大王神コポペルニアを信仰しております」
男が喋り始めた
「そんなことより、ここは昔おれの家で...」
「いえ、ここは旧暦ガマブトフル時代から私たちの信仰の場でした」
男はそう言うとおれに謎のブツを渡した
「これはクンポリスです、吸いなさい」
おれに拒否する体力は残っていなかった
「なんだこれ」
まるで空を飛んでいるみたいだ
「これが旧大王神コポペルニアの力です、さあ貴方も我らと信仰しましょう」
そしておれは宗教団体~コポペルニア王国栃木支部に入った
第3章
それからの日々は素晴らしかった
おれが与えられた仕事は勧誘
そして一人勧誘するとクンポリスが一枚貰える
これを吸うためにおれは生きている
吸えば吸うほど神の力に目覚めるらしい
おれの先輩は一度 旧大王神コポペルニア を肉眼で見たと
おれも頑張らないと!!
そう思い今日もおれは駅前に向かった
「あぁやばい...」
神の力不足で震えてきた
「カンポローーーーー エグンボ!! エグンボ!!キエェェェェェ」
おれはいつの間にか駅前で奇声を上げていた
「おい、あれもしかしてドラゴン右田じゃね?」
声の方を見るとそこにはおれをいじめていた集団がいた
「お前、突然消えてなにしてたんだよ」
囲まれた
「とりあえずそこの人のいない路地裏でお話ししましょうね右田く〜ん」
路地裏に着いた瞬間殴られた
「おい!!きめーーよこらぁ!!てめえが突然消えるからおれらが警察に疑われたんだぞ!」
ボコボコだ、意識が薄れていく
こんな時こそクンポリスで神に力を貰おう
「あぁ、気持ちい 気持ちぃぃぃぃ」
おれは今空を飛んでる
口から光線も出せる
「うわ、なんだこいつやべえぞ」
「もういいわ気持ち悪いから行こうぜ」
奴らが消えた
やはりおれはもう昔と違う!!
吐瀉物が撒きちった路地裏にドラゴン右田は一人立っていた
第4章
う、うおおおおおおおおおお
気づいたらおれはインドにいた
「さっきまでおれは日本にいたのに」
気づいた時は砂漠にいたのに
カレーの匂いに誘われて店の前に立っていた
カランコローン
「マッサーラコンボルゲーラ」
「はい、一人です」
「コルポソニーアカンゴルケルケス」
「いえ、禁煙でお願いします」
そしておれは席に座った
「あーーこの匂いは本当に食欲をそそられる」
「カルホドゲニア クンゴゲル」
目の前に本場のカレーが運ばれてきた
「んっ!!!!」
美味すぎる!!! こんなカレー食べたことがない!!!
おれはその場で土下座をしてこの店で修行させてもらうことをお願いした
「イゲール?キキキキゴポス」
「はい、私は料理の経験はありませんが根気はあります」
「ウェルタンココール キンポコ!!!キンポコ!!!」
「あ、ありがとうございます!!」
そしておれはカレー屋で修行させてもらうことになった
〜1年後〜
おれは徐々にカレー職人になり
なんと、お客さんのインド人の彼女も出来た
「マッカサールポロンゲル」
「ケルポケルポケルポ」
「カニコゲールペルリコ」
あー充実してるな〜
おれ、カレー職人として一人前になったら
彼女にプロポーズするんだ!
「うっ」
なんだか苦しい
これは"食中毒"だ
そのままおれの意識が戻ることはなかった。