3 ドキドキ雑談会
お母さんに家と入る様に言われた私と唯斗君。
家前で話ていると目立つからと家へと入る様にと急かされた。
リビングに案内された私達はソファーで横並びに座る。
気まずい空気を私だけが感じる中、お母さんの浮かれた声がキッチンから聞こえてくる。
「偶然ってかさなるものねぇ。娘が帰って来たと思えば、唯斗君が偶然にも家の前を通るなんて」
「あはは、そうですね。僕もびっくりしました」
お母さんと唯斗の言葉が私を挟んで交わされる。私は空気に成るべく、存在感を消そうた沈黙くた儘自分に空気だと言い聞かす。
「それにしても紗月ったら、さっきから一言も喋らないわね。緊張してるのかしら?」
含みを持った笑みで私を横目で見てくるお母さん。私はそんなお母さんに内心で舌打ちをする。
人がせっかく空気に成る努力をしているのに邪魔をする様な事を言ってくる。
「もしかして…唯斗君が凄くカッコよくなったから緊張してるの?あらあら」
「アハハ…。」
一人でお母さんが盛り上がり、唯斗が苦笑いを浮かべる。
お母さんの言葉が投げられるも、私はスルーして無視を続けた。できるだけ、この場では目立づに時間を過ぎる事を願うしか私にはできないのだから。
そんな私の願いは虚しくお母さんは私の話題を次々に出していく。
「唯斗君と紗月が最後に会ったのはいつかしら?」
「僕が中学に上がる前じゃなかったような?」
「え!?なら、もう3年も会って無いって事!時間が経つのって早いわねぇ」
「そうなりますね」
「昔は紗月ったら唯斗君にあんなにべったりだったのに。今じゃ借りてきた猫みたいになっちゃって」
私はお母さんが昔の話題を出した事にドキリと、心臓を跳ねさせた。
「そんな事もありましたね」
唯斗君が私を挟んでお母さんと話している都合上、私の方へ向く唯斗君の顔。それが視界に入らない様に下を向く。
唯斗君に昔の黒歴史を掘り漁られない事を願い、バクバクと鼓動する心臓に耳を傾ける。
「あの時は紗月ったら、唯斗君のことばかりで迷惑だったでしょ?」
「そんな事ないですよ。僕も紗月さんと遊んで頂いて楽しかったですよ」
快適なリビングなのに私の身体には異変を起き始めていた。寒くも暑くもない部屋なのに、顔は蒼白に成り、汗がじんわりと滲み出る。
「紗月さん?大丈夫?」
目眩がもした頃に唯斗君から声がかけられ、下を向いていた私の顔を覗き込む。
「体調悪いの?大丈夫?」
唯斗君の心配する声に私はチャンスだと思った。
いつ私の黒歴史が露わになるかわからない状況。そんな場をうまく納める為のチャンス。
「う、うん。少しね…」
迫真の演技で唯斗君へと儚い笑みを浮かべる。
「え?紗月体調悪いの?それは大変ね」
お母さんも私の状況に気が付くと慌てだす。
私は内心でほくそ笑む。
「部屋は掃除し終えてあるからベットで寝て来なさい」
お母さんの言葉のナイスパスに私は喜び立ち上がる。できる限り不調を装いリビングを出ようとして…
「おばさん、紗月1人だと心配ですから付き添っていいですか?」
唯斗君が立ち上がり心配だと訴えて来たと。
いらない!そんな優しさはいらない。私はそう叫びたかったが、体調不良と言う事になっているので沈黙を貫いた。
「唯斗君頼める?」
「はい。任せてください」
唯斗君は気合の入った返事と共に私とリビングを後にした。
まだ私の不運は続くようです。




