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強引なアイミの誘い

現在コテージに潜伏中。

危機も去り仲良く四人で寛いでいるところ。

ミモリが出掛けたので今後のことを話し合うことに。


「これからどうする? 」

誰にと言うのではなくそれとなく皆に。あくまで緩く冗談っぽく。

あまり真面目に聞けば現実に戻されるから。

今日までのことをあえて皆気にしないようにしているがもう限界も近い。

いつもはマイペースでトラブルメイカーの陸も疲れたのか口数が減っている。

同様にアイミも大人しい。ただ眠いだけかもしれないが。

それに対して希ちゃんはいつもと変わらずに自然体。でも逆に良くないのかもな。

余計なことを考えていなければいいのだが。


今ある現実。見知らぬ土地でおかしな疑いを掛けられ訳も分からずに囚われた。

その精神的ショックは計り知れないもの。

山奥の閉ざされた集落で権力者により囚われるなどどう考えても普通じゃない。

チュウシンコウを巡ってこれからも悪化するだろう。


それにここが安全だとミモリは言うが決してそんなことはない。

元々がよそ者のミモリにあたりをつけていても何ら不思議はない。

異丹治が本気を出せば夜中にでも急襲する恐れもある。

そう考えると今ミモリ不在では余計に緊張感が増すばかり。

明日以降のこともある。はっきり言ってすっきり寝れるような状況にない。

陸とアイミが大人しくしていてもトラブルはあちらからやって来てしまう。

考えることはいくらでもあり課題山積。さあどうしようかな?


「そうだな…… 」

「分からない」

陸もアイミもあいまいに答える。

「やっぱり一度戻った方がいいんじゃない? 」

希ちゃんは冷静だ。あんなことがあってはここはもう安全ではない。


きっと父さんたちも俺たちを受け入れてくれるだろう。

でも集落で生きて行くにはどんなに正しくても主張できないことがある。

家に戻るのは危険。最初は抵抗し守ってくれてもそのうち差し出すことに。

そうなれば当然父さんたちも立場が危うい。

これ以上迷惑は掛けられない。

それに異丹治の策略で俺たちは集落から逃れたことになってるはず。

お宝に目が眩んだ本気の異丹治相手に立ち回るのは無理だ。

その辺のことも考えて希ちゃんは帰るように促してるよう。


「ほら陸君もアイミもこれ以上ここにいては危険」

「うん。希ちゃんがそう言うなら従うさ」

陸は従順。元々電動自転車で日本一周を目指していた。

それが無理で宇宙人探しをしていた訳で。納得した様子。

「うん…… 私もそうしようかな」

そう言って俺を見るアイミ。

「そうだな。アイミがこれ以上危険な目に遭って欲しくない。陸もそうだろ? 」

「ああ希ちゃんもアイミちゃんも一緒に戻ろうぜ」

もう決心がついた陸はすぐにでも帰ろうと提案する。

俺も大体賛成だ。もう当初の予定の二泊三日は過ぎている。

これ以上は無理はさせられない。安全が保障されてない以上危険は冒せない。


「ごめんなさい。私も一緒に帰りたい。でも皆では目立って逆に危険だから。

アイミと陸君で明日の早朝に出発して。私たちは次の日にでも」

希ちゃんは俺の考えを先読みする形で指示を送る。

「そうだな。希ちゃんの言う通り。二人は明日帰ってくれ。

もし俺たちが戻って来なかったら…… いやいいや。その時はその時だ」

そうだった。俺は初めから戻るつもりはなかった。

俺は夢も愛も希望も捨てて未来に生きるんだから。

あれだけいろいろあったから忘れてしまったが今でもその気持ちは変わらない。

迷いなどない。


「大丈夫だからね二人とも。私たちも次の日には。遅くても今月中には」

どうやら希ちゃんは長引くと見てるようだ。

「さあ皆話はこれくらいで晩飯まで寛いでようぜ」

「じゃあゆっくりしてようかな」

そう言ってアイミが近づいて来る。

それを察知した陸が間に入る。

「ちょっと! 邪魔しないでよ! 」

「そんなこと言わずに俺たちパートナーだろ? 」

陸の言い分も分かる。一緒にここを脱出する相棒。仲良くしなくちゃいけない。

でもアイミは一切気にせずに俺に絡んでくる。


「おいくっ付くなって! 」

「でも…… 今日でお別れでしょう? 」

アイミは意外にも鋭い。俺の決意を読み取って離れようとはしない。

「アイミ…… 」

「いいからいいから」


晩飯を男が補充した冷凍食品とカップ麺でしのぎ眠りにつく。

コテージなので好きなだけ使っていいと言われたが一人で寝るのは怖い。

だから四人で固まって寝ることに。

「ねえ一緒に帰ろうよ? 」

アイミは我がままを言う。それができるなら苦労しない。

「何度言えばいいんだ? 納得してくれただろう? 」

「だったらここで…… 」

そう言うとふざけて俺の布団に潜り込む。

「やめろって。皆いるのに…… 」

「大丈夫。今日は疲れてるから寝てるよ」

そう言うと強引に迫る。


「ごめんなさい…… もう二度と会えない気がして…… 」

アイミはやはりただのバカではないらしい。

イビキを立てて寝てる陸はいいとしても大人しい希ちゃんは誤魔化せない。

「一緒に過ごした仲でしょう? 」

どうやら地下牢でのことを言ってるらしい。

それなら陸だって希ちゃんだって同じだろう?


「おいそれ以上…… 」

「もう我慢できないの! 」

元々強引な奴だったが今夜は一段と大胆に迫って来る。


                続く

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