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対立する二人

主人の異丹治だけでなく世話係まで怒らせてしまった。

まずかったかな? 話しかけても反応せずにすぐに姿を消す。

異丹治にせよ世話係にせよ本当に大人げないんだから。

俺たちまだ高校生なんだぞ?


こうして俺たちは再び四人に。


昼抜きか…… まだマシな方だし冷静だ。興奮すれば何を仕出かすか分からない。

危害を加えられることだってあり得る。危害を……

うわ…… 想像したくない。まさか本気で拷問する気じゃないよな?


「海君お願い」

希ちゃんが恥ずかしそうにモジモジしている。一体何だろう?

「ほら早く。着替えがしたいからさ…… 」

「危害を加えるだって? いやそれはいくらなんでも…… 陸だけにしてくれ! 

ムチは嫌なんです。絶対にムチだけは…… お願いします! 」

土下座覚悟の上で拷問回避に動く。情けないがこれも処世術。

「何を言ってるの違うでしょう? 着替えたいから端に行って目を瞑ってて」

そう言えば俺も着替えてなかったな。でも大きな荷物は父さんのところだし。

あれ…… 二人は好意があって一緒に来てくれたはず。

これくらいどうってことないよね?

そうか。陸が何か仕出かさないようにって訳ね。それなら納得だ。


「おい陸。ちょっとこれを見てくれないか? 」

奴に正直に言ったって興奮するだけ。だからここは他に気を逸らせる。

俺は紳士だから協力してやるのさ。

「おおいいぜ。宝の地図か? 」

興奮してる様子。まあ気持ちも分からないでもないけどさ。

「そうじゃなくてさ。チュウシンコウだよ」

漢字を思い出した気が。夢を見て少しずつ思い出してきている。

あの五年前の記憶が今夢に現れてきてる。

おかしな現象だがどんどんミライに近づいてるとも。


『中心紅』

「おお最初は中だと。それからそれから真ん中は心。どうもそんな感じがするな。

最後は紅ね。おおこれがチュウシンコウか? 」

見たことのない真剣な表情の陸。宝の魔力に憑りつかれたか?


「なあこれ分かる? 」

陸はアイミに聞くがまだ着替えの途中。

タイミング悪く振り向いたので見つかってしまった。

「今あんた覗いたでしょう? 」

もうほぼ完成していたので思った以上には被害はなさそうだ。

何も知らされてない陸の無邪気な行動だから許してやって欲しい。

奴がそう言う人間じゃないのはアイミだって分かってるだろう?


「もうちゃんと見ててよ! 」

アイミが突っかかる。俺のせいなの? 

でもこれくらいのハプニング許してくれよ。

陸の世話は思ってる以上に大変なんだからさ。

「おいおい! 着替えぐらい堂々としろよな! 」

陸はこんな時に空気が読めずに調子に乗って暴言を吐くから人気がないんだよな。

「あんたは馬鹿なの? 堂々とできるはずないでしょう? 」

恥じらいを見せるアイミ。その後ろで笑いを堪えている希ちゃん。

どうやらこの様子だともう着替えは済ませたのだろう。


「もう俺たち仲間じゃないか! 隠しごとなんかするなよな」

「何ですって! 」

「何だよ? 」

二人は一触即発状態。アイミは元からこうだけど陸は興奮して。

「興奮しちゃって最低! 」

「俺が悪いって言うのかよ? 」

「そうでしょう? あなたが悪いんですよ陸さん」

ふざけてからかうアイミ。もう我慢できないと拳に力を込める陸。

まずいぞ。今は仲間割れしてる時じゃない。


「陸抑えろ! そんなことよりチュウシンコウについて分かったことあるか? 」

「そうだよ。アイミも冷静に冷静に。このままだと彼らの思う壺だよ」

二人で止めるが陸の方がまだ納得が行ってない。気持ちは分かるが抑えて欲しい。

確かに寂しく落ち込んでるよりはいいけどこれだとただの罵り合い。

明るく賑やかには無理な話だろうが対立したり仲間割れはできれば避けて欲しい。

特に罵り合いは見苦しくて見ていられない。

皆俺のために無理して集まってくれた仲間だろう? なぜこうなる?

ここは再び一致団結してチュウシンコウの謎に迫ろうじゃないか。


「へん! 今は我慢してやる。でもその女は俺を侮辱した! 」

陸は出会った当初はアイミに惚れていたのに。

しかも行きの電車でもあんなに意気投合していたのに何でだよ?

アイミだって…… あれやっぱりあまり変わってないか。


ここまでに発展してしまうとは…… 閉じ込められて精神的に参ってる。

どんどん弱ってきているそんな気がする。

アイミだって俺のいる手前そこまですることはなかった。

何が二人をこうまで変えてしまったのか?

元々の二人の性格もあるんだろうが。

だとしたら流されない希ちゃんは相当な精神の持ち主となるのか?

いやでも陸には拒否反応を見せていたよな。


これはある意味仕方ないこと。だたそれで済ましていいかだが。

もしこれが閉鎖された空間によるものなら急いで脱出する必要がある。

そうではなくただ長くいたせいで互いの嫌な部分が見えたことが原因なら?

これ以上の旅を続けるのは無理だ。

ミライ捜索への障害となりかねない。


「ほら二人とも仲直りの握手でも」

いがみ合う二人をどうにか取り持つ。これでうまく行けばいいんだが。

そう簡単ではないよな実際……

「悪かったぜ」

恥ずかそうに手を出す陸。素直だな。こう言うところは陸のいいところ。

暴走はするがきちんと反省はする場合もある。

「あなたがそう言うなら…… 」

二人はがっちり握手を交わす。


これでどうにか仲間割れせずに済みそうだ。

陸にしろアイミにしろ単純だから助かる。


                 続く

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