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三日目突入! 地下牢生活二日目

異丹治の屋敷の地下牢にて。

「ほら私たちの邪魔をしないの希」

どうやらいつもと変わらないストーカー気質のアイミだった。

危ない危ない。本気で狂ったかと。

「もうアイミったら酷いんだから」

希ちゃんもいつもの我がままアイミだとホッとしたようで笑みが零れる。

俺も苦笑い。うーん。この場合どう反応すればいいんだろう?


「さあ一緒に寝ましょうねダーリン」

うわ…… まずいこれはもう逃れられない。

ここで機嫌を損ねてはいけない。大人しく受け入れるしかない。

「ははは…… しょうがないなアイミも」

「嬉しい! 」

満足げに胸に飛び込んだので苦しくなるまできつく抱きしめる。

無駄な抵抗だとしてもアイミも少しは警戒するだろう。

「ちょっと苦しい…… もう! 」


「海君…… 」

ごめんと手で謝る。果たして希ちゃんは納得してくれたのかな?

誤解しなければいいんだけど。さすがにこれ以上はまずい。

ふう…… それにしても本当に今日は疲れたな。


後は陸の奴がもう少し大人しくしてくれるといいんだけど……

ただ陸には派手に暴れてもらいたいからなるべくそのままを維持して欲しい気も。

奴らに対抗できるのは陸の暴走とアイミの大胆さ。それに掛かってる。

最悪大人しく期日まで。夏休みまでここにいればどうにかなるが。

それは最悪の場合だし決して異丹治が約束を守るとは限らない。

そもそもこんなことしてる連中を信用できる訳がない。


「希ちゃん…… 」

陸がいつの間にか希ちゃんに接近。

何をするつもりだ?

止めに入ろうとするもアイミにがっちりガードされて動きが取れない。

「おい引っ付くなアイミ! 放せ! 放せってば! 」

「ダメ。このまま一緒に」

まずい。アイミの思いが強過ぎる。ストーカーを舐め過ぎていた。


「アイミちゃんは海にご執心だな。希ちゃんも寂しいだろうから俺と…… 」

積極的な陸は格好をつけて手を伸ばす。

希ちゃんが応えるように陸の手を取って立ち上がる。

おおここに新たな恋人成立?

想いが伝わったのだろう。まさかあり得ない? いやあり得るのか。

そうすると残念だが俺は振られたことになる。

それはそれで嫌だな。複雑な気分。

もちろん今はそんな呑気なこと言ってられないか。


「近寄らないで! 」

いつでも優しいサマー部の女神様の様子がおかしい。

どうしてしまったのだろう?

地下牢生活のプレッシャーから情緒不安定になってるのか?

それは少なからず俺もアイミも陸だってそう。


「希ちゃん…… 冗談だよね? 俺臭くないよ」

必死に言い訳する陸。問題はそこではないのでは?

痺れを切らした希ちゃんは陸に狙いを定めて一発張る。

「痛いな…… 皆で仲間外れにしてさ…… いいんだ俺なんか…… 」

そう言って不貞腐れる最悪の展開。


こうして波乱の二日目が終わった。

まさか異丹治の思惑で閉じ込められてしまうとは。

しかもここまで早くとは誰も予想しなかっただろう。


三日目の朝を迎える。

ドンドン

ドンドン

地下牢の金属部分にスプーンを当て食事の催促。

一日一食とあって必死の陸。朝食だそうだ。

もちろん三日分の食糧はあるがそれでもこのままならすぐに尽きてしまう。

荷物を没収されずに済んだのは幸運だったが囚われ続けては動きが取れない。

手を打たなければ数日で破綻するだろう。


「ほれ飯だぞ。大人しく食べるんだな」

へへへ…… 俺はいつの間に寝てしまったのだろう?

昨夜は陸の奴を宥めるのに一時間掛かった。

それからは興奮して寝てられるような状況ではなかった。

おかしくなりつつあるアイミと希ちゃん。

陸は少々不貞腐れてるだけでいつも通り。ちょっと暴走してるのだろう。

アイミもいつもこんなものだった気もする。

問題はやはり希ちゃん。変わりようったらない。


「おい何をしてる! 出せ! 出しやがれ! 」

食事を終え腹を満たすと叫ぶ陸。

「静かにしろ! 主人が直々にお目見えになる。

それまでに大人しくできなければどうなると思う? 」

脅しを掛ける。さすがは扱いに慣れている。

「出してくれるのか? 」

何を勘違いしたのか釈放されるものだと思ってる。

そんなはずがないのに我慢しきれなくなっている陸。


「いいかよく聞け! 主人は慈悲深い。お前たちの返答次第では釈放するだろう。

だから文句を言わずに大人しく従え! 」

まさか俺がその程度のことで納得するはずがない。

「異丹治に伝えろ! こんなことをしても無駄だと。即時解放を求める! 」

ここに閉じ込めてどうする? せめて一人ずつならうまく行ったろうが。

とは言え自分が本当に情けなくなってくる。

結局閉じ込められたまま。打つ手はなさそう。


昼前に異丹治がやって来た。

「どうだ。財宝探しはやめる気になったか? 」

集落のリーダーとして異衛門あるいはそのもっと上の者から聞かされたのだろう。

しかし何を勘違いしたのか俺たちがその財宝を狙っていると言う。

「誤解だと言ってるだろう? 」

強気に出る。どうせ下手にしたところで解放してくれる訳じゃない。

「そうだそうだ。何で俺たちがそんなこと…… 」

「黙れ! クソガキども! 」

俺に加勢する陸の挑発行為に我を失いキレてしまう異丹治。

大人げない上に器が小さい。小物だ。


「あなたはその宝を独り占めしたいんでしょう? 」

アイミは閉じ込められた恨みを晴らそうとする。

より生意気に。これ以上は危険な気もするが大丈夫か?

「ははは…… 何を勘違いしてるんだお前たちは? 

この集落に災いを起こさないために近づく者を追い返してるだけだ」

反論してるがまったく当てにならない。

ここまで執着するのはきっと独り占めを狙ってのことだろう。


チュウシンコウとは一体?

さあこれからどうすればいい?



                 続く

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