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ミモリのトラップ

ペアで行動開始!

陸とアイミは集落を回っての情報収集。怪しまれずに失礼のないように。

俺と希ちゃんは思い切ってミモリのコテージへ。


「アイミか…… 迷惑だって言えないよね…… 可哀想だもん」

あれ反応がないぞ? これだとただの独り言。

正直な話困ってる。希ちゃんはきっと俺の夢が叶うなら応援してくれるはず。

でもアイミは…… あそこまで一途だと俺を忘れられずにエスカレートしそう。

ああ何だかミライが見つかって本当にいいのか分からなくなる。

贅沢な話だが悩みは尽きない。


「ねえ希ちゃんは本当にいいの? これは俺の問題。できれば巻き込みたくない」

格好をつけてみるが多少は本音。ただここまで来て今更感が拭えない。

「ミライさんでしょう? 会ってみたいな」

どこまでもポジティブな希ちゃん。こんなタイプの子だっけ?

いや待てよ。会ってみたいをポジティブに捉えたがもしかして何かするつもり?


「でもたぶん私は会えないんじゃないかな? 」

「縁起でもないこと言わないで! うわ…… ごめん。言い過ぎた」

つい優しいから無遠慮に。ダメだな俺。

「大丈夫。きっと会えるよ。ただその時は私たちはお邪魔でしょう? 」

遠慮がちで控えめな性格だからこちらを察してくれる。

できるならミライを紹介したい。でもそれは俺たちの関係がはっきりしてから。

さあコテージに到着。無駄話してるとあっという間。

ではお邪魔してみますか。


ドンドンと何度も叩くが反応がない。この時間で寝てるはずもないしな。

一応は断ったのだから中に入って見るか。

どうせここは田舎。勝手に入っても怒られはしないさ。

うーん。緊張してきた。あれ? 希ちゃんも震えてる。

どうやら俺以上に緊張してるんだろうな。

あの男怪しげな感じだったから。何か知ってる。とても大事なことを隠してる。

きっとそうだ。そうに違いない。


コテージには誰もいない。念のために二階に上がってみるがやはり誰もいない。

ミモリも祭りの準備で忙しいのだろうか?

「ちょっと海君。勝手に二階に上がったらさすがにまずいよ」

「いや田舎だからいいでしょう。見つかったらその時に挨拶すればいい」

希ちゃんを説得し昨日は行けなかった二階へ。

チュウシンコウの真実を探る旅は新たな展開を迎えるか?


二階のほぼ中央のテーブルにはメモ書きが。

どうやら俺たちが来ると予想してミモリが残したもの。

チュウシンコウの真実を伝えようとしてるらしい。

だったらもったいぶらずに昨日教えておけよ。もう面倒な人だな。


「メモには何って? 」

「それが…… 三段目の引き出しに探していた答えがあるから見てくれとさ」

「よかったね海君! 一歩前進だね」

「うーんそうでもないよ。三段目には鍵が掛かってるみたいで開かないんだ。

ほら全然動かないだろう? 」

押しても引いてもどうにもならない。鍵を見つけるしかないんだが……

その在り処が分からないんだよな。


いや待てよ…… 

「何か分かった? 」

「たぶんあの男はふざけてるんだと思うよ。あるいは時間稼ぎか」

どう言うつもりかは本人に直接確かめるしかないが遊んでるのは確か。

まさか俺たちを見極めてるのか? それにしたってバカにしている。

「ええっ? どういうこと? 」

希ちゃんは分からないらしい。一見協力的に見えるよな。

陸のように単純なら引っ掛かるかもしれない。

だがこのトラップは危険ではないが時間を食う。


「鍵は恐らくこのコテージ内にあるんだと思う。

でもそれには部屋を引っ掻き回すしかない」

「そうだけど…… でも貴重な手がかりでしょう? 」

「俺たちはここに明後日までしかいられない。時間があるようでないんだ。

こんなお遊びをする奴は信用できない。大体あの男を見たことがない」

予定は明後日までだが手掛かりさえ見つかればそれ以降も柔軟に対応するつもり。


「まさかそれじゃあ…… 」

「どう言う訳か俺たちの邪魔をしようとしてるみたいなんだ。

ミモリは時間稼ぎして俺たちを真実から遠ざけようとしてる。それは間違いない」

「だったらここにはチュウシンコウの真実はないってことね」

「こうまでするのだから恐らく。俺たちも集落の者に片っ端から聞いて行こう」

こうしてミモリを無視して集落へ戻る。


「ふふふ…… 優秀だな。少々手荒だが実力行使と行くかな…… 」

居留守の住人が囁く。


昼過ぎに一旦集まることに。

「どうだったそっちは? 」

「はいはい。面白いことが分かったよ」

そんな風に堂々としてるアイミ。陸よりはまだ信用できるがどうだろう?


「アイミは誰から? 」

積極的な希ちゃん。そう言えば何となくうちの猫に似てる。

大人しくて無関心に見えてすべて聞いていて的確にアドバイスをくれる。

俺の飼ってる愛猫のパンちゃんはそう言うところが優れているからな。

あれ…… 希ちゃんについて語るつもりがいつの間にか我が家のペットの話に。

あんなにかわいいんだけどオスなんだよね。だから希ちゃんとは根本的に違う。


「聞いてよ希! 誰も知らないって」

「そうだぜ。出てけとか酷いんだから。長閑な土地だと思ってると痛い目見るぜ」

陸は俺たちの勝手な妄想と現実の区別がついてないらしい。

要するに無駄足だったのだろう。

こんなこと言うと陸なら無駄だって分かっただけでも貴重だと抜かすんだろうな。


「俺は何となく分かってきた気がする」

陸はそう言うが具体的には何一つ口にしない。ただの負け惜しみとも取れる。

「それで本当にチュウシンコウについて誰も知らなかったのか? 」

「ああ…… でもそのことに詳しい婆さんならこの集落にいるとさ」

何だ陸たちは貴重な情報を得ているじゃないか。

ちっとも無駄ではなかった。


                  続く

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