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ペアで行動開始!

調査一日目。

帰省して父さんたちに再会し第一の目的は果たした。

後はどこかにいるはずのミライを見つけ出せばいい。

ただ近づいたせいかミライの夢を見た。悪夢だったような……

不吉なことが起きる。そんな予感めいたものがある。


「まあいいんじゃないか。もし見つからない時は俺のように諦めてさ…… 」

何を言ってるんだ? 諦められるはずないだろう?

五年だぞ? 五年待ち続けてようやく会えるって時に諦める奴がどこにいる?

確かにあの時はまるで夢のような体験だったから現実感はないよ。

でも俺がここで諦めたら一人の少女の運命が決してしまう。

少なくて全力を尽くすつもりだ。出会えるのに諦めたら一生後悔することになる。

それだけはどうしても避けなければ。

「おいいつまで寝てるんだよ? おじさん行っちまうぞ」

急いで朝食をとることに。


うーん眠い。どうしてこんなに眠いんだ。欠伸が出て堪らない。

疲れた? そうか長旅で疲れたから。まあ分かっていたことだけどさ。

飯を一口。味噌汁をすすってから沢庵と梅干を平らげて焼き魚に移る。

ふふふ…… アイミの奴相当苦戦してるな?

 

「ねえ小骨が! 小骨が! 」

「頑張れアイミ! 希ちゃんはきれいに食べるね」

「そうでもないよ。手に油と臭いがついていつまでも落ちなくて苦手」

「ははは! バカだな。そんな時は気にせずに飲み込めばいいんだよ」

陸はとんでもないことを言いだした。実際食いちぎるように魚をかじっている。

うん豪快な食べっぷり。化け物か? 

危ない危ない。陸でなければ真似してるところ。


「うぐぐぐ…… 苦しい! 」

案の定陸は喉を詰まらせた。常にトラブルを起こすから苦労する。

急いで水を飲ませてやるがこれで本当にいいのかな?

デザートのミカンを食べて朝を終える。

「よし今日はどうする? 」

さっそく話し合い。できれば昨夜までに話しておきたかったんだけどな。

どんどん遅れる一方だ。


「俺は宇宙船探しに…… 」

「残念ですが却下。真面目に答えましょうね陸君」

一人で勝手な行動を取らせられない。いつ暴走するかも分からないのだから。

それに集落の人が皆優しくて協力的とは限らない。

限らないと言うか警戒しないと危険だ。

こんな閉ざされた集落では誰が何をするか分かったものではない。

うーん。信用しないのも悪い気がするがここは慎重に行動しよう。


「だったら手当たり次第聞いて回るのは? 」

アイミのローラー作戦。悪くはないけどそれは協力的だった場合のみ有効。

「希ちゃんは? 」

「危険だけどコテージに行ってみるのはどう? 」

あの怪しげな男の話を聞きに行くのも悪くない。でも何か引っ掛かるんだよな。

さあどうするかな? 迷っていても仕方ないか。


「では二手に別れよう。俺は希ちゃんと。陸はアイミと一緒に頼む」

こうして希ちゃんと俺とでコテージに。

二人には情報収集。集落でなるべく話を聞いて回ってもらう。

文句はないはずだ。これがベストだって分かってるからな。

希ちゃんはしっかりしてるけど話すのは苦手。だから俺とチームを組む。

陸は積極的だが何をするか分からないところがある。だから目付け役がいる。

それにはアイミが最適だ。


仮に俺と陸では女の子二人になって危険度が増す。

俺とアイミならたぶん問題ないだろう。

ただ希ちゃんでは陸を抑えられない。

勝手な行動ばかりする陸では希ちゃんを守ってやれない。


「よし解散! 」

こうして二組に分かれて捜索開始。

「アイミたちは集落全員から話を聞いてくれ。

それで怪しい奴と詳しい人をピックアップして。

名前と場所と内容をしっかり書くように。それから…… 」

「心配しないで。チュウシンコウについて聞いてみるから」

「くれぐれも失礼のないように頼む。父さんたちが笑われないようにな」

本来ならここまで言わなくてもいいんだが。

この二人だからな。興奮すると陸と一緒に暴走しそうで怖い。

アイミはあくまでお目付け役。頼むぞ暴走だけはするなよ。


「行っちゃったね…… 」

希ちゃんはこの時を待ち構えていたかのように笑顔。

「何だか嬉しそう」

つい表情から感情を読み取り正直に伝えてしまう。

無口を貫くので俺が続けるしかない。

「いやごめん。そんな訳ないよね。おかしなことに協力させてる自覚あるから」

学校やクラブでは希ちゃんの表情を読み取って口下手な彼女を助けていた。

そうするといつも感謝してくれるので今回も同じようにしたんだが。

何とも言えない空気になってしまう。

こんなに空気がうまいのにどうもここだけ薄い気がしてならない。


「そんなことないよ。陸君に頼んだのは私だから」

「へえそうなんだ」

何だかおかしいぞ? 希ちゃんはすべて知っていて一緒に?

でも普通は恋敵の捜索などしない。アイミは別として。

しかもアイミだって嫌がってたし。


「そうだ。婚約おめでとう。どうぞお幸せに」

「ええっ? 」

「ふふふ…… 冗談だよ。でもアイミはそうは思ってないから気をつけて」

希ちゃんとアイミの距離がぐっと近づいた。

この旅を通してもっと強固なものになるだろう。


こうしてつまらない話をしながらコテージへ。


                 続く

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