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恐怖! アイミの存在

<ZERO>館○○○○部の部室。

在校生名簿に不審な赤い丸印が。

何度も確認するがマークは陸と希ちゃんだけ。

まだ途中とも取れるしただサマー部をピックアップしたとも。

しかしサマー部なら俺にも印がついてないとおかしい。

一体スケルトンは何を企んでいるのか?


「へへへ…… 二人はお似合いってことかな? 」

呑気な陸。そんなはずないのに。

奴は成績優秀でもなければ運動神経抜群でもない。

だから表彰されたこともなければ褒められたこともない。

三連覇を達成してもご褒美は補習だったからな。

そんな奴だから選ばれることに強い憧れを持っている。

中学時代からのつき合いなのでよく分かる。


「なあなあお前もそう思うだろ? 」

「そんな訳あるか! たぶんサマー部だからそれで丸で囲んだだけ」

そうでないと説明がつかない。ただそれだと俺は無視されたことになるが。

「いやきっと運命なんだと思う」

ダメだ。自分の都合のいいように捉えてしまっている。

これでは現実と虚構の区別が曖昧になってしまいかねない。

「はいはい。だったら他の名簿も」


名前に丸がついてないか調べることに。

どうせスケルトンがつけたお遊びみたいなもの。

隣のクラスの名簿を探る。

もし本当ならそこにも丸印が。

二人で手分けして隈なく。

だが隣のクラスにもそんな丸印はない。

うん…… どう言うことだ? 奴は本当に選ばれたのか?

この印はいつつけたのか? どうしてつけたのか? 疑問が残る。


「この際だから直接スケルトンに聞くか? 」

浮かれた陸は己の立場を忘れてしまったらしい。

「冗談はよせ! そんなことしたら俺たちが来たのをばらすようなもの」

「そうだけどさ…… でも気になるだろう? このままじゃ俺寝れないよ」

駄々をこねる困った奴。

確かに奴の言う通り気にもなるし不気味でもある。


これがいいことなら問題ないが万が一にも悪いことだったらと思うと。

俺は関係ないからいいんだけどね。

ただ知らないうちにリストアップされてる恐怖は計り知れない。

どうしてスケルトンはこんなことをしたんだ。

まさかスケルトンは預言者なのか?

ははは…… そんなはずないか。


「なあ一つ気づいたことがあるんだけど」

もったいぶる陸。どうせ大したことじゃないだろうな。

それでも聞いてやるのが優しさ。

「もう何だよ! 」

「実は隣のクラスの名簿にさあ…… アイミちゃんの名前が載ってないんだよね」

奴の顔から血の気が引いて行くのが分かる。

衝撃的な事実を告げる陸。でもだからどうした?

「どう言う意味だ? 」

何だか凄く寒気が。嫌な予感がする。

「アイミちゃんが名簿に載ってない」

同じことを繰り返す陸。どうしちまったんだろう?

おかしいのは前から知っていたがさらにおかしくなった様子。


一応は確認する。

「冗談だろ? 名簿に載ってないはずがないだろう。確か隣のクラスの子で……」

だがいくら探しても女子の方にアイミなる人物が載ってない。

名前の横にはきちんとローマ字で難しい漢字にも対応している。

一回見て二回。それでも飽き足らずに五回は見た。

でもアイミに該当する人物がいない。

いない…… いない! いない!


「逆隣のクラスじゃないのか? 」

「そう思って俺も確認したさ。でもアイミちゃんはいなかったぜ」

陸は震える。俺だってもちろん震える。いや吐きそうだ。

「もしかして男…… 」

念のために男子の方も見てみることに。

限りなく低いがあり得ないことではないので。

でも当然アイミのデータがない。まるで初めからいなかったかのように。

せめて写真があれば判別できるのに。

結局散らばった資料すべてに目を通したがアイミはいなかった。

どういうこと? これは一体?


「なあアイミちゃんがお前の求めていた女の子なんじゃないのか? 」

陸は恐怖のあまり自分の都合のいいように話を作る。

それはあまりに荒唐無稽。

俺だってミライが希ちゃんかなと思わないこともないがアイミであるはずがない。

大体俺はすべてミライのために生きようとした男だ。

今更アイミがミライだなんて認められない。

真相はどうやら直接本人に聞くしかないか。


「なあそうすると補習でいたアイミちゃんは? 」

そうだよな。補習は三人。アイミがミライかどうかは別としてなぜこんな悪戯を?

確かにアイミをアイミとして認識してなかった。かわいい隣の女の子ってだけ。

アイミがアイミだと言うから。だから補習でも大会でも合宿でもアイミ。

うっとうしいとは思ったけどその存在を疑ったことはなかった。

まさかアイミ…… 俺はアイミに会うのが怖くなったよ。

元からストーカーだから怖いんだけど。


「おいこれ開くぞ」

陸はまた新たな扉を開こうとする。

「待て! 引き上げた方がいい! 」

下の階から僅かながら足音がする。ゆっくりのようで逃げるには問題ないはず。

「畜生! 戻るしかないか」

陸は素直に従う。奴も相当精神的にきてるんだろうな。

さあ資料を元のところにバラバラにして準備完了。

急いで部屋を出る。


足音が響き始めた。どうやら階段を上り始めたらしい。

さあ気づかれないように細心の注意を払って退却。

こうして真夏の肝試しは終了となった。

ZERO館を離れ家に。


陸はその足で電動自転車で国内一周の旅に戻るそう。

タフな奴だが今度のことを忘れるにはちょうどいいかもな。

俺も早く支度しなくちゃ。


                  続く

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