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<ZERO>館の謎に迫る

陸と真夏の学校で七不思議の謎に迫る。

奴はチャンスだとか抜かすが俺は嫌だな。

異界の地に連れて行かれそうで怖い。

あれ…… 物語の趣旨と言うかジャンルが変わってないか?


ZERO館一階。

「ねえ希ちゃんも呼ぼう」

情けないが一人より二人。三人ならどうにかなる。

「お前酷い奴だな。まさか希ちゃんを退学させる気か? 」

「そんな…… 」

奴の言い分は正しい。でもそうすると俺を巻き込んで退学させるのはいいのか?

「気にするなよ。大丈夫バレないって。ただ逆に誰にも気づかれないかもな」

脅かしやがる。頭悪いくせに俺を脅かして自分は冷静さを保つ作戦らしい。

「大丈夫だって。ZERO館は曰くつきだけどあの失踪事件の現場はここじゃない」


そう言えば当時のニュースでは電車で向かったと。

そしてとある村でぷつっと消息を絶ったとか。

だから奴の言うようにZERO館は関係ない。ここで失踪したのではない。

でもそれ以降封鎖されていたのなら怨霊が戻って来ても……

いやまだ失踪事件か。あまり不謹慎なことは言えないよな。

確定してなければいい。まだ生存の可能性がある。

とは言え待たされる者にとってはやり切れない。

せめてすべて分かった時点で大々的に公表して欲しいがそれも難しいんだろうな。


「ねえやっぱりやめないか? 俺たち呪われるよ」

「おいビクビクするなよ! もう封印は解いた。後は進むだけだ! 」

前からだが人の話を聞かない困った奴。それが陸。暴走する予感。

「せめてアイミを…… 」

「いい加減諦めろ! これは運命なんだ! 」

ダメだ。何を言っても聞かない。

まるで憑りつかれているかのよう。

「だったら後ろに…… 」

「お前逃げる気だろう? 馬鹿な真似は止せ! 逸れたら吸い込まれるぞ」

もちろん冗談だろうがここは学園七不思議の一つ。仕方なく手を繋ぐことに。


何で俺がこんな目に遭わないと行けないんだ?

最近全然ついてないんですけど…… まさか婆ちゃんの言ってた通りに?

希ちゃんといい関係になりアイミも懐いている。

これほどの幸運は未だかつてなかった。その分だけ不幸が襲い掛かるってか?

冗談じゃない! 吸い込まれて堪るか!

ああ…… 俺は一体どこで間違ったのだろうか?

やはり補習がすべての始まりだったような気がする。


「ほらもういい加減覚悟を決めろ! 」 

巻き込んでおきながら自分勝手な物言い。ふざけた奴だ。 

「だったらここに来た理由を話せ! なぜここが解き放たれたのを知っている?」

「まあいいか。歩きながらな。気を紛らわすにはちょうどいい」

そうして陸は話し始めた。


「あるところに…… 」

「違う! 誰が怖い話をしろと言った? 真面目に頼む! 」

「ははは…… 冗談だって。あれは顧問のスケルトンから」

陸は合宿中に顧問と部長の何気ない話を盗み聞きしたらしい。

何でも夏休み中は管理人が不在に。それで鍵を借りて三日ほど開放するらしい。

掃除に整理整頓。徹底的にきれいにして戻ってきやすいようにするのだとか。


「ならスケルトンもここに? 」

「そうだろうな。たぶんZERO館に」

こうして嫌々恐怖のZERO館めぐりスタート。

と言っても封鎖されていただけあって埃塗れ。

真夏でも窓を開けない限り光も入って来ない。

何と言ってもここだけは電気が止められてるからな。


「懐中電灯は持ってきたか? 」

もはや主導権は完全に陸が握っている。

奴が驚けばそれ以上にびっくりする。

奴が叫べばそれ以上に金切り声を上げるかな。もし本気なら声も出ないだろうが。

「あるはずないだろう。ただお前が来いって言うから何も知らずに」

懐中電灯はおろか光るものさえない。外は太陽が嫌と言うほど降り注ぐのに。

ここは一つとしてその恩恵がない。

それはやはり窓ではなく雨戸が閉まっているからだろう。


「なあ開けようぜ。暗くて何も見えやしない」

「馬鹿! そんなことしたら見つかる! 音だってどれだけ響くか」

馬鹿に馬鹿と言われるのが一番堪える。

「でも暗いし熱い。湿気もある」

このまま行けばダウンするだろう。その時責任取れるのか?


「ホラ進むぞ。二階に行けば日差しの差し込むところもあるはずだ」

希望的観測を述べる楽観的な陸。

なぜここまでして奴につき合って肝試ししなければならない?

こんなハードなのじゃなくて合宿の時のようにもっとソフトに楽しく。


「まずは階段を見つけようぜ」

例の失踪者たちは二階で活動していたとのこと。

呑気に探索。果たしてどうなる?

「ホラこっちだ」

真っ暗でここがどこなのかも分からない。


カンカン

カンカン

どこからかともなく金属音が鳴り響く。

「なあやっぱり戻ろう。メリットがなさ過ぎる」

「ははは…… 何を言ってる? もうここまで来たら最後まで行こうぜ」

どこまで前向きなんだこいつは?

ポジティブと言うより何も考えてないと言った方がいい。

そのせいで迷惑を被るのはいつも俺。損な役回りだな。


「こっちかな…… 」

行ったり来たりを繰り返す。

進んでるのか戻ってるのか分からなくなる。

うん。見たことがあるような……

「悪い。振り出しに戻ったみたいだ」

入って三十分。二階へ繋がる階段が見当らない。

まさか封鎖した時に壊したか?

いやそれはないよな。スケルトンもいることだし。


「なあスケルトンはやっぱり二階か? 」

その時だった。足音が。

階段をリズミカルに歩く音が響き渡る。


                続く

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