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ビーチバレー

ついにスイム。

部長が先頭で引っ張る。続いて一年が続く。

俺たちは最後尾でゆっくり。

うん気持ちいい。海はやっぱり最高だな。

波も穏やかだし昨日のように天気の急変はなさそうだ。

あっても通り雨ぐらいだろう。

これなら夜の肝試しは何の問題もない。今から楽しみ。


スイムも楽しいけどいまいち盛り上がってない。

それもそのはず。ただ泳ぐだけだと飽きてしまう。

そこに隙が生まれる。

遠浅なので危険はなさそうだが離岸流が発生することも。

いきなり深くなってるところもあるとかでやはり油断できない。


「おい大丈夫か? 」

アイミが少し遅れる。その後ろに希ちゃんが。さらに後ろを泳ぐのが陸。

奴はバイクは得意だがスイムはからっきしダメ。はっきり言えば泳げない。

だから浮き輪を使って泳いでいる。万が一を考えて救命胴衣も着用。

「ほら無理するな。ゆっくり。ゆっくりでいいぞ。疲れたらリタイアしろ。

部長もお前に完走まで求めてない。たぶん」

いつもは何らかのトラブルを起こし巻き込まれるが今回は何もなくても危険。

「大丈夫。情けないところを見せられるかよ」

希ちゃんとアイミがいる手前どうしても格好つけて無理をしてしまう。

いくら浮き輪と救命胴衣だとしても完ぺきではない。


疲れから足が曲がり始める。これでは無駄に体力を消費するだけ。

「ほら体の力を抜け! 足を無闇に蹴らないでただ伸ばすイメージで」

「やってるよ! 」

生意気にも反論しやがった。これはダメだな。


「何かあったらその笛で知らせろ」

もしものための最終手段として笛を持たせている。

これで奴が溺れそうになってもどうにかなる。

どうにかなるがそれでも一人にはしておけない。

スイム担当の俺が監視役になることで他の者が気兼ねなく泳いでいける訳だ。

奴には少しは感謝してもらいたいもの。

いくら遠浅な海だからって自然を甘く見てはいけない。


ハアハア

ハアハア

どうにか泳ぎ切った。陸の世話で倍以上疲れたな。

奴は今泳げた喜びを噛みしめているところ。

「部長。泳げましたよ! 凄いでしょう? 」

大喜びで調子に乗るものだからお叱りを受ける。

「それくらいではしゃぐな! それから海も自然も舐めるんじゃない! 」

熱い男の一言でさすがの奴も黙ってしまう。


「よし昼休憩だ! 」

こうして往復で一キロを泳ぎ終える。

最後尾だったので他の者がどうなったかまでは分からない。

とにかく全員無事は確認できた。


ふう疲れたな。少しは休むとするかな。

スイムを終え昼食休憩を挟んでようやくお待ちかねのビーチバレー。

ヘトヘトの陸は見学してるそう。まったく一体何を見学するつもりだよ?


海の家でかき氷とフランクフルトを購入。

かき氷で冷えた体に熱々のフランクフルトを投入。

そしてコーラーでまた冷やす。

こうして冷たいの温かいのを交互に繰り返し体を生き返らせる。

これでビーチバレーに全力投入できる。

とは言えただのお遊びで真剣にやるようなものではない。

笑いながら時には大声を張り上げて。勝つことよりも繋ぐことを意識する。


まずはサーブ。どうも感覚がつかめなくてミスを連発してしまう。

「おい副部長何をやってるんだよ! もっと真剣に! 」

一人だけ真面目な部長。温度差があるので審判をやってもらっている。

だからなのか人のミスや動きの悪さが目立つらしい。でもお遊びだからさ。

そもそもビーチは砂だから感覚が掴み辛い。

真面目にやればもう少し違っただろうがどうしても気が抜けてしまう。

締まりのない顔で笑う。それがビーチバレーなんだけど部長は常に全力だ。

傍から見れば情熱的で男らしいのだがどう言う訳か男人気しかない。

女性からはどうも敬遠されがち。その原因は恐らくその暑苦しさから。

太陽の暑さと部長の暑苦しさで参ってしまう。


「よーし。試合を始めるぞ! 」

今までのはあくまで練習だと。これからは全員気を抜かず全力でやれとのお達し。

うーん。迷惑だな。暑苦しい部長を持つと皆に迷惑が掛かる。

これなら俺も奴みたいに見学してるんだったな。

どうせ奴のことだから…… ホラ…… あれ違った?

希ちゃんを見てないぞ。まさかアイミ? でもなく明後日の方を見てニタニタ。

まったく何を考えてやがるんだこいつは? 浮気癖があると嫌われるぞ。


隣には顧問のスケルトン? 目立たずに存在を消してるかのよう。

英字新聞広げて何をやってるんだ?

自慢? 覗き? 困ったスケルトンだな。

ビーチバレーぐらい参加したらいいのに。 


さあ試合と行きますか。

二十五点マッチで三セット制。

これは本家のバレーボールを元にした過酷な試合。

サーブを軽く上げる。

これでジャンプサーブなどしたらいくら試合とは言え興ざめしてしまう。

遊びの延長でしかない。長く楽しむことを心掛ける。

それにビーチだから下は当然砂。ジャンプなど簡単ではない。


「オーライ! オーライ! 」

なるべく自分のミスで得点されないように来た球は落とさない。

「ごめーん! 」

慣れないと足を取られて転倒。怪我に繋がるからある程度は気をつけてないと。

特に多いのが足の捻挫。最悪骨折したりで骨に異常が見られることも。

牛乳を毎日飲んでるし小魚だって嫌いじゃないから大丈夫だろう?

まさか自分がなるとは思ってない。

ただ想定してないのが一番危険。

海や自然では自分の体を過信して無茶して起こることが多い。


「行くよ! 」

こうして楽しくビーチバレーして午後は終了。

結局俺たちチームの勝利。勝因は審判では我慢しきれずに加わった部長のおかげ。

熱血指導はそれはすごいもので一年などは真剣に耳を傾けている。

俺はと言うとハイハイと流すだけ。これではうまくなれない。


さあ続いてはお楽しみの肝試し。


                  続く

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