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お披露目

合宿二日目。

ついに本番。今日はビーチバレーボール大会。

そして夜にはお待ちかねの肝試し。

部長たちでやるとなったから俺は一切関わらない。

すべては幹事に任せるのがいい。俺たちは優雅にビーチで寛いでいればいい。

ただ何となく嫌な予感がするのはなぜだろう?


「ねえ希ちゃんは昨日何してたの? 」

陸の奴が元気いっぱいに希ちゃんに絡む。

迷惑だといい加減気づけよな。でも奴には無理なんだろうな。分かってるんだ。


希ちゃんは砂浜で読書していたらしい。

日焼けは嫌だからとクリームを塗りフリースで完全防御。

それは今も変わらない。

もったいないよなせっかくの水着なのに。肌をまったく出さないスタイルだから。

たぶんこれが一緒に買いに行った時のものだろう。

青いビキニなんだけどフリースで隠れていては評価のしようがない。

一応はかわいいねとだけ伝えといたが。

髪を切ってかわいさよりも大人っぽさを出したかったんだろうなと。

でも人前では恥ずかしくて。

その辺のことは後でアイミにでも聞いておくかな。

何でも聞けるからそう言う面では助かっている。


まあ俺も人のこと言えない。泳ぐ時には脱ぐがそれまでは短パン。

半袖短パンで武装。だって恥ずかしいから。どうしても人の視線が気になる。

見てるはずないのにどうしても自分の見えてないところが気になる。

そうなるともう嫌で嫌で仕方がなくなる。手を胸にクロスさせガード。

まるで強風吹き荒れる冬空であるように。足だってもう内股に近い歩き方。


「よしお前らスイムだ! 」

そうこれはサマー部の合宿。泳がないはずない。

部長はビーチバレーだけだと言ってたけど当然スイムも予定に。

「それはないですよ部長! 」

サマー部なのにスイムを嫌がる節がある。


先日の大会も水着になった。

でもあの時は皆競技に集中していたし俺を見て笑う者もいなかった。

そして海に入ってしまえばもう怖いものなし。周りからはほぼ見えないからな。

競技が終了してからはもう恥ずかしさがどこかに吹っ飛んだ。

泳ぎ切った自信から堂々としていられた。

そもそもタオルで半分ぐらい隠してられるから。

あの時は希ちゃんと一緒に楽しく過ごしたっけ。

希ちゃんも恥ずかしがり屋だから一緒にいて楽なんだよな。

恥ずかしくなったら相手を恥ずかしがらせればいい。これはさすがに酷いか。


あの時だよな。昔スタイルのサングラスのお姉さん。

近寄りがたい存在だった。

アイミか…… ふふふ…… 今どこにいるんだろうな。

「どうしたの? 私がどうしたって? 」

うわ…… 地獄耳。大胆な白ビキニ。そんなものを俺の前に近づけるなっての。

男どもの視線が釘付けだろうが! 頭が悪いと思われるぞ。隠すとこ隠さないと。

あれ…… でもこの水着は一緒に買った時のものじゃない。大会の時のでもない。

一体何着持ってやがるんだこのお姉さんはよ。


アイミが近づけば近づくほど自分のスタイルに自信が持てなくなってしまう。

へへへ…… おかしな感覚。でも本当だから仕方がない。

俺はいつの間にかアイミに対抗意識を燃やしている?


「おいお前ら早くしろ! 」

部長からお叱りを受ける。

急いで水着に。スクール水着だとガキっぽく思われるので緑をチョイス。

あえて抵抗を無視した昔スタイルの水着だ。

オリンピックの選手のような抵抗の少ない競技用水着は高くて手が出せない。

サマー部でトライアスロンにも参加したが未だにクラシックスタイルを貫く。

どうも競技用だと…… 特に青の水着は紙一重だから抵抗がある。

金銭的な面でも見た目の問題もある。


うわ…… 急に恥ずかしくなってきた。見て欲しい。でも見られたくない。

でも見られるなら最後まで。そんな訳の分からない感情に支配される。


あーあ部長みたいに筋肉つけたいな。あの人は筋トレ好きだからな。

俺だって当然筋トレするよ。でも腕立て伏せが難しくて諦めるんだよね。

背筋は気持ちいいんだけど。腹筋は無理やりやるから腰と頭が痛くなる。

スクワットも両手で頭を抑えるからクラクラしてくるし。

だからか続けるのが一苦労。三日で飽きるが一週間はどうにか持たせる。

やっぱり闇雲に筋肉をつけるのはよくないよね。

さあ泳ぎますか。


こんな間抜けなスタイルだと奴にからかわれる。

「おいあそこに変な生物がさまよってるぞ。ははは! 」

陸の奴…… 彷徨うの漢字も書けないくせに生意気言いやがって。

俺も本当は人のことは言えないが漢字はまだマシな方。

自分はもっと恥ずかしい締まりのない体してるくせに人のことを。

筋肉はあまりなく適度の脂肪が乗っているので美味しくいただけます。

そんなややぽっちゃり体形。


毎日四食は食ってるからな。お菓子もジュースも暇があれば補充してる。

いつも食えと言ってくれるが俺は遠慮してるぜ。

だからいくら自転車に乗ろうと下半身に筋肉はつくがお腹までは改善されない。

大体電動自転車では運動になるかも分かったものじゃない。

筋肉をつけるためにはよく食べてよく寝るが基本。

決して筋トレなどの運動をする訳ではなくただ闇雲に動き回ってるだけの陸。

だからいつまで経っても体が仕上がらない。サマー部には珍しい逸材。

ただ奴はまったく気にしてない様子。

気にする方が馬鹿だと馬鹿なのに正論を吐く。


「ほらお前も急ぐんだよ! 」

ついにスイムへ。


                続く

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