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水着の趣味

フードコートでお昼。

「それで何でお前がここに来てるんだよ? 」

再びのアイミで頭痛がしてきた。

アイミと言ったら先日の大会にまで追いかけて来た筋金入りのストーカー。

少しでも気を許せば搦めとられる。

俺には希ちゃんだっている。それに再会を約束した彼女もいる。

はっきり言って迷惑でしかない。

「同じサマー部でしょう? 一緒に水着を見てもらおうと思って」

アイミは本気で俺の好みを聞いてきやがる。


ハンバーガーを頬張る希ちゃんはまるで小動物のようでかわいらしい。

俺は情けなくもズルズルとうどんをすする。ちょっとだけ恥ずかしいんだよね。

「お前だろ誘ったのは? 」

たこ焼きを火傷しそうな勢いで食べる陸を問い詰める。

「ははは…… そうだよ。バレたら仕方ないな」

「まったくお前はいつもそうだ」


「お願い! 私を奪い合わないで! 」

陸との会話に割り込んでふざけるアイミ。

だがまるで本気で言ってるように聞こえるから怖い。

さあ何て返せばいいかな? アイミには下手なことが言えない。


「いいから溶けちゃうって」

一人飯を食わずにアイスを舐めるアイミ。

それを見て興奮する困った奴。何を隠そう俺だ。

凄く美味しそうに見えるんだよな。一口。一口でいいから食べさせて欲しい。

チラチラ見てるとまるで変態に見えるからここは遠慮なく堂々と見る。

「もう…… 」

口元を手で隠し背を向ける。


「まあいいや。それで希ちゃんはどうする? 」

まさか本気で水着を買いに来るとは思わなかった。

どうやら陸のセクハラも勘違いらしい。そんなことないか。興奮してたもんな。

せっかくなら皆で水着をと思うが俺たち二人はどう考えても場違いだよな。

「うーん…… だったら一緒に見ようか」

大人だ。文句一つ言わずにアイミを受け入れた。


それにしても陸は何を考えてるんだろう? 俺に黙って女の子を二人も。

その積極性とへこたれない精神力には毎度驚かされる。

「よしじゃあ食ったらさっそく水着! あちちち…… 」

興奮してたこ焼きを掻き込みやがった。どんだけ焦ってるんだよ?

こうして四人でショッピングを楽しむことに。


二人は仲良く合宿用の水着を夢中で選んでいる。

うんうん。もう二人とも随分と仲良くなったなあ。

特にお互いを尊重し合えるようになってきてるのは成長の証。

ただ希ちゃんは前とあまり変わってない気も。元々大人しく優しい子だから。

アイミはアイミで張り合うためだけに仲良くしているようにも。


現在女の子たちは水着選びに難航中。

希ちゃんは迷いがあるのか決めきれずにいる。

アイミはもう決めてる様子だが他を試しているところ。

俺たちはその二人を隣のショップから覗く…… ではなく見守る。

さすがに一緒に見て回るのは色々な意味で恥ずかしいからな。

自意識過剰だとは思うが目を合わせた女性に叫ばれたらどうしようとさすがにね。

陸なら気にしないだろうがリスク回避で止める。俺たちは大人しく見守ればいい。

だからってやっぱり隣の店から覗くのも相当怪しいよな。

もう恥ずかしくてどうしたらいいか分からなくなる。


「おいどうだ? 買うのかな? えへへへ…… 」

陸がそわそわしてずっと水着売り場に視線を向けてるから相当怪しまれている。

「あの…… お客様」

いつもだったら存在してないかのように無視する店員も異様な光景につい確認を。

「いえ知り合いですから」

堂々と言い訳できるのはいつもと違うところ。

ただいつもはそんなことしないし聞かれもしない。

相当怪しまれてるんだろうな。

「失礼しました! 」

慌てて謝罪を受ける。でも勘違いさせる方もよくない。

さすがにこれ以上はまずい。


「おいそろそろ行こうぜ」

どんな水着かは当日になって確認すればいいこと。楽しみは後に取っておくもの。

今試着しようとしていた白っぽいのでもいいし派手でカラフルなものもいい。

大人の女性を感じさせる赤でもいいかな。

希ちゃんは少し地味なのにするんだろうな。でも待てよ水着で地味って難しいか。

存在を強調するように派手なのがい多いしな。

そうするとかわいらしい水着だろうか? 大胆にもビキニだったらどうしよう。

おいおい俺は何を予想&妄想しているんだ? バカなのか俺?

本当に浮かれていて情けない。これでは奴と大差ない。


うんこれくらいでいいだろう。実際どうでもいいのがこれらのこと。

俺は興味がある振りをしてるが何がどういいのかよく分かっていない。

周りがいやらしい目つきでその手の写真を見たり陸のように初めから興奮したり。

どうせ見えないものは見えないんだから水着などどうでもいいとクールに考える。

こう言うところは周りが思ってるほどの興味が持ててない証。

悲しいが現実だ。俺は合わせられずに醒めてしまう。


「なあなあアイミちゃんはどんな水着を選んだと思う? 」

まだ興奮が収まらない困った陸。

それ以上変なことを言ったりいやらしい視線を送れば不審者として検挙されるぞ。

いくら俺たちが高校生でも捕まっちまうものは捕まっちまう。

「おいそれくらいに…… 」

「たぶん物凄いのを選ぶと思うぜ」

何の根拠もないことを。確かに希ちゃんに比べればそうだろうな。

あのサングラスに似合うビキニを選ぶだろうな。大胆って言うか。


「どう思うお前? 」

「えっと…… 派手なビキニかな」

「そうだろそうだろ。うんうん。へへへ…… 合宿が楽しみ」

「おい興奮するなって。アイミはどうでもいいだろう? 希ちゃんはどうした?」

「まあまあそれよりもアイミちゃんだって。赤いビキニ選んでくれると嬉しいな。

当然白っぽいのも最高だがな」

舞い上がって仕方ない野郎。どうせどれだって最高と大げさに言うんだろう。

「赤いってか? 確かにアイミならよく似合いそうだな」

「そうだろそうだろ。お前も分かって来たな」

うわ…… 好みが被るのかこいつと? 似た者同士かよ。


赤い…… 深紅のようなビキニ。

深紅? 深紅ってどこかで見たような聞いたような……

チュウシンコウ?


                 続く

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