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サプライズ美少女登場?

ショッピングモールにて。

陸の奴がトイレに行ってから随分時間が経った気がする。

早く戻って欲しいような欲しくないようなおかしな感覚。

このまま戻って来ないなら覚悟を決めて希ちゃんと思いっきり楽しむ。

逆にすぐなら手を離して待つ。

非情だがこれも奴との友情を保つため。


「大丈夫? 汗かいてるみたいだけど」

緊張していたのはどうやら希ちゃんではなく俺らしい。

何て情けない。恥ずかしさで余計に熱くなる。もはや異常だ。

もちろんこう言った突発的な多汗症に悩んでる人だっているだろう。

でも俺のは違うと思う。テストの時はならないしね。緊張し過ぎの一時的なもの。


感じる。希ちゃんの息遣いが。ダメだおかしな扉を開きそうになる。

まだ俺たち知り合ってからそんなに経ってないじゃないか。

時間をかけてゆっくりゆっくりお互いを知って行こう。

そう今は手をつなぐだけ。

希ちゃんの熱を感じる。今はそれだけでいい。

もう少し経ったら抱きしめることも。そうしたらどんな感じなんだろうな?


まずい。おかしな妄想を浮かべてヘラヘラしてたら希ちゃんに引かれるかも?

これが普通なのか? どんどん変態道を突き進んでいないか?

自分が心配になる今日この頃でした。


おっと終わっちまう。

今は手から熱を感じ次は抱きしめて柔らかさを感じ。

もしかしたらキスをすれば天国にも登れるかもしれない。

ははは! かなり重症だな俺も? 奴ほどではないが相当浮かれてるんだろうな。

今はまだ息遣いを隣で。匂いや香りを嗅ぐに留める。

どんどんおかしくなっていく自覚がある。そうこの自覚が大事。最後の砦。

自覚無くてやってたらいつか捕まっちまう。


それにしても奴は遅いな。もしかして気を利かせてくれたのかな?

でも奴にはそんな気を遣ったり人を思いやる心は備わってない。

いや。そんなことないか。奴にだってきっとそれくらいある。そうと信じたい。

奴を信じてこれからJT君と呼ぼう。


「悪い待ったか! 」

トイレから帰還したJT君。何て晴れやかなんだろうか。

抱きしめてやりたいぐらいだ。でも臭そうだからやめておこう。

「おい! 今手を繋いでなかったか? 」

意外にも視力がいい。ゲームばっかりやってるくせにこう言うところは目ざとい。


俺なんかゲームもせずに勉強と読書の毎日。

ゲームは中学までに卒業さ。表向きはね。

だってゲームしてると婆ちゃんに脅されるから。

頭悪くなって廃人になるとか脳が腐るからとか。そんなの迷信と反論しても無駄。

何度もお経のように聞かされてはさすがにできない。

だからって勉強はしてる振りだし読書は頭に入って来ないし。やってる意味ある?

正直にそう話すとお医者様に相談だと言い出す始末。

迷信を信じる方がどうかしてると思うけどね。

婆ちゃん世代は疑うことをしない。


「見間違いだよ。見間違い。なあ希ちゃん? 」

無言で頷く希ちゃん。そう言うことにするしかない。

「何だか希ちゃんの声がいつもと違ったぞ? 焦ってるみたいだ。お前だって」

おかしなところを突いてくるJT君。

「それよりどこに行ってたんだよお前はよ? 」

これ以上追及されてはボロが出る。奴の話にしてしまえ。


「トイレと…… 」

言いにくそうに先を続ける。

「ううん? トイレとどこだって? 」

「ふふふ…… 喫煙室にな」

格好をつけるが高校生では入れないだろうが。いくらJT君でも無理がある。

「本当のことを言えっての! 」

奴を問い詰める。そしてすべて吐いてもらうことに。

「仕方ない。実はさ…… 後ろを振り返ってみな。俺からのプレゼントだ」

そう格好つける。


振り返ると派手な格好をした女の子が一人。

微笑んでるかと思いきやこちらを明らかに睨んでいる。

誰だこいつ? どこかで見たような気もするな。しかもごく最近。

どこの誰か知らないが奴の知り合いなのは間違いない。


「はーい」

随分と余裕だな。

「お前もしかして…… 」

「うんうん」

「例の幼馴染? 」

陸には仲のいい今も付き合いのある幼馴染がいると聞いた。

それが彼女ではないかと。陸が恥ずかしがって一度も会わせてくれないからな。

それ以外考えられない。 他に候補はなさそうだし。ついにお披露目か?

「馬鹿言わないでよ! 私よ私。アイミに決まってるでしょう? 」

そう言って何度目かの自己紹介をする。

いや全然決まってないし。誰かなんて分かるものか。

女の子がかわいい服に髪の毛を降ろし化粧までしたら誰かなど素人目には無理だ。

せめて大会の時に着けていたサングラスでもしてくれればもしかしたら。


「たぶん知らないかな」

そう言ってスルーすることに。

「ちょっとそれはないでしょう! もう二人は付き合ってるんだからさ! 」

勝手なこと言って既成事実化しようとする頭が悪いくせに抜け目がないアイミ。

「それはお前が勝手に…… 」

「ううん。あなたが先に告白したんでしょう? 私の気持ちはどっちでもいい。

だからあなたはもう私から逃れられない」


何て痛くて重い人なんだろう。これはもう完全にストーカー認定していいな。

希ちゃんも呆れて言葉もないようだし。

おっとここで言い争いをしてどうする?

ひとまず昼を済ますことにする。


フードコートへ。

うわ…… 人がいっぱい。

ざわざわがやがやとうるさい夏休みのフードコート。

ここでは落ち着いて話もできやしない。


                 続く

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