海と陸を繋ぐもの
アイミがサマー部へ。
いきなりの超展開にまったくついて行けない。
「さあ最期はランだ! お前たちしっかり応援するんだぞ! 」
「ハイ! 」
こうして何事もなかったかのように過ぎて行く。
陸は俺たちのいざこざを見ていない。
だからまだ脈があると本気で考えているよう。
だが希ちゃんは別にしてアイミは無理だろうな。
すべて俺が悪いんだけどな。優柔不断なせいで二人を傷つけた。
たぶんこれからも二人を傷つけるだろう。
そして奴まで結果的に傷つけることになる。
愛情と友情? どちらを取ればいいのやら。悩みは尽きない。
と思いながらも二人とは友だちのままでいたいと虫のいいことを考えている。
こうして嵐のトライアスロン大会はどうにか無事閉幕する。
ちなみに我がサマー部は健闘及ばず散々な結果となってしまった。
それでも昨年よりも順位は上がったのでよしとしよう。
どうにか五十位以内には入れたので部長の機嫌も悪くない。
もし入れなかったらどうなっていたか?
想像するだけで吐き気が。
そのままランで帰る最悪の事態はどうにか回避できた。
去年同様参加賞を貰って大会を後にする。
去年はキャップだった。今年はTシャツ。貰って損はないもの。
ただでかでかと島の地図にトライアスロン大会の文字があり恥ずかしくて無理。
これでは着て行く場所がない。だから自然と部屋着に。
もう少しどこにでも着て行けるような派手でないものだと助かる。
まあこう言うのはお土産にはちょうどいいんだけどね。
婆ちゃんなら喜ぶかな?
大会が終わると四日後に合宿が待っている。
間が開かずに強行日程となってるのはすべてを七月までに終わらせたい思惑から。
遅くても八月頭まで。
それだけではなくお盆を過ぎれば海にはクラゲが大量発生する。
海に近づきにくい状況。
何と言っても合宿には海は付きものだからな。
そう俺が後ろから付いて来る訳だ。
その上八月は個々の用事が増える。特に中盤にはお盆が待っている。
終盤は忙しい上に夏休みが終わるタイミング。
宿題もあってなかなか入れ辛い状況。
大会では酷い目に遭ったが切り替えて次に向かうとしよう。
月末から八月初めにかけて二泊三日の合宿。
合宿と言う名のお遊びだ。
問題は誰がこの合宿の計画を立てるか。
それは毎年夏に入って部長が指名する。
今回は部長たち三年生がやることになって一安心。
もし指名されたら相当なプレッシャーに。
たとえ部長の知り合いの家での二泊三日のしけた旅行だとしても気が重い。
今は気が楽。俺たちは思いっきり楽しめばいいだけ。
問題は先生だよな。一年近く休職されている。
今年から臨時の顧問がいるにはいるのだが……
そう言えば休職の件に関して変な噂が流れてるんだよな。
実は失踪したとか行方不明だとか。陸もそんなこと言ってたっけ。
宇宙人にさらわれたとか。本当に勘弁して欲しいよな。
「おはよう」
と言っても昼なんだけどね。どうも夏休みはだらける。
暑いしすぐ体が疲れるからな。眠くて仕方がない。
「おう! どっかで飯を食おうぜ! 」
元気な奴が一名。迷惑を掛けられなければいいんだけど無理だろうな。
期待を裏切らないのがこの男。いつものように大騒ぎするに決まってる。
「そうだな。朝を食ってなくてさすがにお腹空いたな」
起きたのが三十分前。急いで支度すると食ってる余裕はなかった。
婆ちゃんに叱られながら見送られる情けない展開。
「ははは…… バカだな。飯ぐらい食って来いよ」
「そう言うお前も似たようなもんだろう? 」
格好をつけるなよな。同類さ。
「おいおい俺を甘く見るなって。これでも朝は早く起きたんだぜ。
そしてもちろん朝飯もちゃんと食ってきた」
自慢されてもなあ。普通なんだぞそれ。食わない奴もいるがそれは習慣。
「へえ食ったんだ? 」
「それだけじゃないぜ。昼飯だってしっかりハンバーグ」
「へえ凄いね」
ダメだこいつ。昼飯までしっかり食ってやがる。
ハンバーグじゃねえだろうが!
そんな腹に溜まるものを食うんじゃない!
いつものこととは言え怒りが。
まったく気にする様子のない陸。もう本当にどうしようもないな。
「さあ何を食おっか? 」
まだ食うとは尋常じゃない。そのTシャツも。
「ああこれか? あん時貰ったろ? 」
よく着れたものだな。俺は大人しく寝間着にしてる。
あまりにも派手で抵抗がある。婆ちゃんも着てくれないぐらいだ。
「さあ行こうか」
二駅先のショッピングモールへ。
そこにある店で安い服を。たまに映画も。
ただ基本は何も買わずにぶらぶら。立ち読みする程度。
お店の人には悪いなと常日頃から思っている。
「お前買わなくていいんじゃない? そのセンスなら選ぶ必要もないだろ? 」
合宿で着る服を買いに来た。
「おいおいそれはないだろ? これでもこだわりがあるんだぜ」
格好をつけるが着てる服が服なだけに説得力がない。
飯はいつもの駅前ではなくショッピングモールで。
ノロノロと駅前を歩く。
「うん? どうした? 」
「いや何でもない。急ごうぜ」
急に早足になった。もう電車が来るのかな?
でも一本後でも問題ないよな。何をそんなに焦ってる?
「お前何か隠してないか? 」
「ははは…… そんなことがあるはずがないじゃないか」
大げさに否定する。これは間違いなく何かある。
俺を騙して何かしようとする気だ?
「おいってば! 」
「そんなことより…… あれあれ…… 」
偶然を装ってるがバレバレだ。
「待った? 」
「ううん。俺たちも今来たところ」
希ちゃんがいた。うん確かに希ちゃんだ。でもそれ以上の感想はない。
続く




