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三角関係勃発

顔を上げた希ちゃんが騒ぎ始めた。

どうしたんだろう? 彼女も二人きりが耐えられなくなった?

それは俺たちの関係の終わりを意味している?


「ああこっちに向かって来る! 」

「どうしたの? 」

「ほらあっち! 」

希ちゃんは視力がいいのかただ警戒心が強いのかトラブル回避術に長けてるのか?

ぐんぐんと向かって来る物体。ようやく視界に捉えた。

さっきまでは希ちゃんでいっぱいだった。視線も心も体も希ちゃんへ。

だからなのか全然気が回らなかった。


あれ…… 女の人? なら問題ないよな?

警戒を解く。 

気をつけるべきは言葉の通じない輩。

昼に出没するのは珍しいがビーチでは割と遭遇する。

絡まれると厄介なんだよな。 

不快に思われたか? 部活で来ればそう思う奴も当然いるよな。

ただ大会規定には載ってない。それ禁止にしてたら参加者がいなくなる。

何と言ってもこの島一周のトライアスロンイベント。

ただ本物ではなくもどきでしかないが。

これからトライアスロンに興味と憧れを持ってもらおうとの思惑がある。


ちなみに明日行われるのが本物のトライアスロン大会。

サマー部からは部長ぐらいだろうか。

下手に参加してリタイアするならまだしも迷惑を掛けては部の存続にも関わる。

ただでさえ前にいろいろあったからな。

スポーツは参加することに意味があるは場合による。


「ちょっとあんた何なのよ! 」

うわ希ちゃんに因縁を吹っ掛ける生意気なサングラス女。

そんなに紫外線が気になるなら来なければいいのに。


地元の人か? だがそんな風には見えないしな。

どうしよう? 希ちゃんが絡まれている。

その手に持った砂を掛けるつもりか? 

仮に対抗してもあっちはサングラスだからな。敵いはしない。 

でもスタイルは悪くない。とんでもなくバカっぽいが体はしっかりしている。

真夏の海にいそうなビーチのお姉さんと言ったところか。


「初めまして。どのようなご用件でしょうか? 」

一応は年上だろうからこちらから挨拶をしよう。

これが女の人だから挨拶はするけどもし男なら無視するに限る。

何も下心がある訳ではなくてこう言う初めての場所では無難に済ますべき。

そもそも俺には下心ないよな?

 

「ちょっとふざけないで! まさか私覚えてない訳? それとも馬鹿にしてる?」

興奮したお姉さんが勢いよく前へ。

何だ希ちゃんの知り合いか。お忍びで応援にでも来たか?

「希ちゃん知り合い? 怖い親戚のお姉さん? 」

サングラスを取らないと分からないが似てるようには思えない。

容姿もそうだが態度に口調に性格が違う。百八十度違うと言っても過言ではない。

希ちゃんはただ首を振るばかり。

どうやら見覚えがないらしい。だとしたらよくいる酔っ払いかな?


「あの…… 人違いだと思いますよ。これ以上邪魔しないでくれませんか? 」

一応はこう言うところで男を見せておかないと冷たい人間だと思わるれからな。

最悪情けない男にされかねない。対応一つで見る目が変わってくるもの。

そうここでも相手が女の人だから強くも言える。これが男だとそうはいかない。

だって怖いんだもん。おっと情けない感情が出てしまった。

それは相手だってそうなんだけどね。怖いから吠える。怖いから脅す。

相手を屈服させて自分が優位に立ってからでないと何もできない。

そんな臆病なんだけど。それを隠すように余計に態度をでかくする。それが男。

俺がそうかと言うと違う。だってまだ俺は完全な大人な訳ではないしな。

選挙権だってないただの高校生。それは希ちゃんも同じ。

ビーチで執拗に絡む輩は危険だ。それに対してスタイル抜群のお姉さん。

こちらが積極的に絡みたいぐらいだから安全だ。


「何ですって! 」

能天気にしてると興奮したお姉さんが顔を近づける。

近いって! これ以上はダメだ。いざこざに巻き込まれる。

俺何かした? これはこれで危険? 

多少警戒すべきだろうか? でも頭悪そうだしな。


「ははは…… だからもうどこかに行ってくれ! 」

これ以上は危険と判断し強めに言うことに。希ちゃんを守らなくては。

「忘れたの! 私でしょう? 」

サングラスを取るタイミングは完璧。

日差しのせいか最初は誰だか分からなかった。

たぶんこのまま分からない方がよかったんだろうな。

でも俺は気づいた。気づいてしまった。


「お前は! 」

「そうそう。私を忘れないでよね」

どうやら俺の方の知り合い。どおりで希ちゃんが首を振る訳だ。

可哀想に今でも振っているよ。

「うーん…… 誰だっけ? 」

そう彼女のことは知っている。でもそれは顔だけ。名前まで覚えてない。

彼女とはこの夏に知り合った。頭の悪い女の子。

頭が悪いからにはかわいいのだろうが俺のタイプかと言えばどうかな。


予行練習のために告白した隣の女の子。

それはもちろん俺が悪いよ。付き合いとは言え思い切って告白。

なぜか受け入れられるし。もう訳が分からない状態で大会まで来た。


「一緒に補習受けた仲じゃない! 愛の告白だってしたくせに! 」

怒り狂うのもよく分かる。でも名前は知らない。

本当にただ隣のかわいい女の子ってだけ。

奴に付き合って告白しただけなんだ。それ以上でもそれ以下でもない。

奴なら恐らく名前も何でも知ってるんだろうな。


                 続く

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