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希ちゃんが見たもの

チーム・桃太郎はご主人様の海を除いて合流を果たす。

陸・アイミ・希の三人は隣村で奇跡の再会。

別れてから今までのことを事細かに報告し合う。


「誤解しないで。結局海君はミライさんしか見てなかった。

それは学校でも合宿でも今でも…… 」

希ちゃんはそれがよく分かる。実感したと。

とても寂しそうで今にも泣きそうなのを必死に堪えている。

可哀想に。海は本当に酷い奴だ。男の風上にも置けない奴だ。

こんなに魅力的な二人を捨てて昔の女に走るんだから。最低だよ。

あれ…… でも今がチャンスなのでは?

  

「希ちゃん俺! 俺は…… 」

急なことで告白と慰めの言葉が見つからない。

「はい。あんたはこっちに! 希はゆっくりしててね」

アイミちゃんは俺の計画などお見通しのようで邪魔をする気らしい。

タイミングを考えろと言う。でも今がベストタイミングのはず。

「アイミちゃん悪いな。でも俺にはもう希しかいないんだ。分かってくれ! 」

格好をつけてみる。これで少しは俺のことを見直したかな。

このまま放っておけば俺の評価は下がる一方。これも海の奴が悪い。

親友のせいにして逃れる。


パンパン

手を叩いてすべてを解決したとアイミちゃんが。

俺の告白は後にしろと言うことらしい くそ…… 今が最大のチャンスなのに。

「それでこれからどうする希? 」

アイミちゃんが仕切る。

「私は…… 分からない…… 」

そう言って泣き出してしまった。可哀想に。

ここは優しく抱き寄せたいがお隣さんがそれを許してくれそうにない。

ではハンカチを…… 持ってないや。どうせトイレ行っても手を洗わないからな。

ここはティッシュを渡すか。あれ…… 汗でグチャグチャ。

ポケットの中が暑さと汗でティッシュが濡れて使い物にならない。


「大丈夫陸君? ほらティッシュなら私のをあげるから」

涙を拭いてもらおうと探していたら逆に希ちゃんに気を遣われてしまう。

あーあ。俺って何をやってるんだろうな? でもせっかくだから貰いますか。

「ありがとう希ちゃん」

「もう陸君を見てると馬鹿らしくなるね」

「あんた馬鹿だってよ」

俺馬鹿にされたのか? ただ海を引き立てようと暴走してるだけなのに。

「大丈夫陸君? もう一枚いる? 」

へへへ…… 優しくて気が利くな。海なんかにはもったいないぜ。

やっぱり俺が希ちゃんを幸せにしてやろう。


落ち着いたところで意見を求められる。

「一旦帰った方がいいかなと。どうせ俺たち帰ろうとしてたんだからさ」

当然これが一番正しい。海とミモリの思いに応えないと。それが親友ってものだ。

それに俺にはそっちの方が都合がいい。

「ハイ失敗! やり直し! 」

アイミちゃんは厳しい。でもこれって自由なはずだが? なぜ答えがある?

俺はそう言うのが特に苦手でどうしたらいいか分からない。


「ほらもう一度」

「そうだな…… 村でのんびり帰りを待つか」

これしかないか。でもいつ帰って来るか不明なのに待つのか? それはきつい。

一本道だからって必ず会えるとは限らない。いつかもあやふや。

明日かもしれないし明後日かもしれないし。それは海次第と言うことになる。

早く戻って来い海! いつまでも待たせるなよな。


アイミちゃんはそれでも違うと首を振る。

だったらもう選択肢は一つしかないじゃないか。

「だったらもう一度助けに行くって言うのは? 」

もうこれくらいしか思い浮かばない。でもせっかく脱出したのにもったいないな。

「それはまずいよ。二人の気持ちを大切にしてあげよう」

希ちゃんが止めに入る。


「だったら希はどうしたい訳? 」

「それがまったく…… 」

「よし暇だし。皆で宇宙人を探そうよ」

つい調子に乗ってふざけたことを言ってしまう。

まずかったな。でもこれくらいしか思いつかない。俺の頭ではこれが限界だぜ。

「うん。それがいいかもね」

アイミちゃんもこう言ってることだし宇宙人探しといくか。


「でも一度家に…… 」

希ちゃんは帰ると言うがそれでは海を置いて行くことになる。

ここまで来たら帰る時は一緒。

二人は知らないが俺は親友だぜ。仲間以上の関係だ。

絶対に一人残したりしない。


「もしかしてもうどうでもよくなった? 」

「そんなことない! でも海君はもう戻らないと思う。

私たちがいくら待っても無駄。待つなら家でもいい」

希ちゃんは完全に諦めたようだ。そうするともう俺しか残ってない。

「私はそんなこと思わない! 」

アイミちゃんは最後まで諦めないそう。だったら俺だって。

「そうだよ希ちゃん。奴は戻って来るよきっと! うまく行くはずないんだ」

希ちゃんを励ます。でもまだ元気がない。どうしよう?

もう俺にはどうすることも……


「とにかく帰るのはいつでもできる。ここは助けに回りましょう」

アイミちゃんは結局海に振られた。それでもまだどうにかしようとしている。

凄いな。俺もできたらな…… でも俺頭悪いしいい考えは浮かばない。


「とりあえず情報収集しようか」

「そうだよ。宇宙船の発着場所はたぶんもう少し行ったところに」

「もう宇宙船の話はいい。いる訳ない。冗談もそれくらいにしなさい! 」

全然信じてもらえない。絶対にいるのにな。本当アイミちゃんは手厳しいや。


希ちゃんが慌てた様子。何か言おうとしているみたい。

「ああ…… あれがそうじゃない? 」

ようやく言葉になった。でもあれって何かな?


                 続く

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