「感謝状とか」
「おじさん、何?」
「子供たちは嬉しそうに来ました。」
私は、とっさに何をしていいのか分からずバッグに入っている飴玉を三人に渡します。
「おはよう、お姉ちゃんの飴あげるから。」
「ありがとう。」
「店長、良かったですね。事故が未然に防げて。」
「腑に落ちん話だなぁ。いや、まあいいけど。」
私たちは、落ちた荷物を道路脇に寄せました。
「ゆかりさん。どうする?これから。」
「店を開けて仕事しましょ。」
一つの事件を解決しました。腑に落ちない部分は沢山ありますが、世の中には不思議な事もある様です。未来からの手紙は、他の方にも届いているかもしれませんが、私たちの様に行動を起こし不幸を未然に防いでいる事でしょう。今日は雨は降りそうもありませんが、いつもの様に傘立てを玄関前に置いて開店の準備を始めました。
差し出し不明の郵便物が速達でどどき開封しました。
『感謝状 ありがとうございました。おかげで夫と入籍することができました。20年後お店にお礼に伺います。』
私は、店長に手紙を渡すとロッカールームで着替えを済ませ店長の淹れたコーヒーを頂きます。
「店長、今日は早めにお店を閉めて帰りません?」
「そうだね。やってられないね。ゆかりさんも疲れたでしょ。」
「その感謝状どうされるんです?」
「まぁ、キッチンにでも飾っておくよ。忘れるといけないから。」