「夏美さんの捜査情報」
翌日、私は目を覚ますと、部屋の窓から空模様を見上げました。
雲は薄く日の光は町を照らしています。
「今日は、お客様少ないかも知れないですね。」
私は着替えて、カフェに出勤します。
店長は、開店準備をしながらお客様をお迎えするため働いていました。
「店内の温度設定は冷え過ぎない程度に設定して…。」
いつものように開店しました。
「おはよう、ゆかりちゃん。」
「夏美さん、どうです?」
「何とかおおよその見当はついた。犯人は新宿にいるらしいわ。」
「神戸から、東京ですか?また難航しそうですね。」
「捜査範囲は広いけど、そうでもないわよ。田舎は隠れやすいけど、東京って捜査がしやすいのよ。でも移動手段がいくらでもあるから。今警視庁の方が囲い込みをしているから。」
「奥の部屋、空いてますから使ってくださいね。」
「ありがとう。ねぇ啓ちゃん、コーヒーお願い。」
「おう。」
店長は労うように丁寧にコーヒーを淹れます。
「夏美よぉ、こっちにも差し支えない程度に情報流してくれよ。結構な人数集めてるから。」
「あ、そうね。極秘情報は、無理だけど。さっき聞こえたように東京のこの辺り。システムは必要?」
「いや、プロフェッサーが作ってくれたのがある。」
「助かるわね。私のは教授仕込みのアレンジ版だから。本家のメンバーが動いてくれてるんだ。」
「ほら。コーヒー。」
「ありがとう。」
「今年も暑くなるのかしら?」
「そうなるな、例年通りだよ。今、その教授と繋げてある、俺たちは仕事に戻るから。」
「ゆかりちゃん仕事始めようか。」
「はい。店長」
詳しいことは、私たちには教えてもらえませんが、お昼頃には犯人の居場所が特定できたようです。
昼の休憩時間に、私がコンビニでアイスを買っていると同級生がシフトに入っていました。
「アイスのオススメある?」
「普通のソーダ味にしていれば、間違いないぜ。」
「それ、定番でしょ。客にはヒット商品勧めなよ。」
「お前ん所こそ、ヒット商品考えないと客なんて直ぐなくなるぞ。」
「…。」
足早に店を出て、いつものように施設の裏で紫陽花を見つけて話しかけました。
「花言葉の通り、辛抱強いわね。一本もらって行くわよ。」