第9話:「みゆきと、学年主任からの密命」
こんにちは!
今回の主役は、みんなの頼れる“縁の下の力持ち”みゆきです。
目立つことは苦手だけど、誰かのために頑張ることは決して忘れない彼女。
学園祭の準備委員に指名され、戸惑いながらも奮闘する姿を描きました。
ドタバタの準備委員会で起こる予想外の展開、そして友情と信頼の物語をお楽しみください。
朝のホームルーム直後――。
3年生の教室に、学年主任・高梨先生の不穏な声が響いた。
「――というわけで、学園祭の準備委員を……高瀬、お願いできるか?」
指名されたのは、我らがみゆき。クラスの良心、成績優秀、日陰の努力家。
「……えっ、私ですか?」
「そう。君なら安心できる。信頼してるぞ」
プレッシャーを一言に凝縮するの、やめてもらえません!?
休み時間、しおんたちに相談するみゆき。
「私、準備委員とか向いてないよ……目立つの苦手だし」
「いやいや、実務能力で言えば最強でしょ?」とことは。
「逆にことはがやったらどうなると思ってんのよ」としおん。
「たぶん3分で逃げ出す」とみゆき。
全員納得した。
学園祭の準備会議。委員会の顔ぶれは濃すぎた。
「大道具担当・筋トレ部部長の田嶋です! 鉄パイプで全力でいきます!」
「美術展示担当・2年のかえでです。メイン作品は、1メートルの羊毛フクロウを編みます」
「え、待って何そのスケール感」と小声で突っ込むみゆき。
さらに、司会進行役は――まさかのしおん。
「今日も元気に、みんなのハートに電波ジャック☆」
「なんでいるの!? 委員じゃないよね!?」
「うっかり参加☆」じゃない!!
案の定、委員会は大混乱。
「ポスター案、こんなのどうですか?」とみゆきが控えめに出したデザイン。
「地味すぎる!」と筋トレ田嶋。「もっと筋肉を! 躍動感を!」
「いや、筋肉関係ないでしょ!?」
「じゃあこっち見て~。羊毛で作った“躍動するタコ”!」
「なぜにタコ!?」
カオスの中、みゆきはふと思う。
――なにこれ、私、どうすればいいの?
委員会後。
帰り道、ことはが自転車を押しながら並んで言った。
「みゆきはさ、“調整”が得意なんだと思う」
「え?」
「目立たなくても、空気読んで、暴走する人をうまく止める。ちゃんと“現実”に着地させてくれる人。……だから、みゆきが必要なんだよ」
「……そっか」
ちょっと照れくさい。でも、ちょっと嬉しい。
みゆきはポケットの中で、小さく拳を握った。
エピローグ:
翌週の委員会。
「学園祭ポスター案、これに決まりました!」
筋肉のフレームに、羊毛のタコが乗った、妙にインパクトのあるデザイン。
「……なんか、すごいバランス取れてるな」と皆がうなずいた。
その裏には、何時間もかけて折衷案を練り続けた、みゆきの地道な努力があった。
やっぱり、地味でもすごいのが、みゆきなのだ。
みゆきの苦悩と成長、伝わりましたでしょうか?
目立たなくても、誰かのために力を尽くすことは、とても尊いこと。
そして、時にはみんなの“まとめ役”になってくれることが、何よりも大きな役割なんだなと感じます。
次回も、ゆるくてあたたかい彼女たちの日常をどうぞお楽しみに!