表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/42

第6話:「カラオケは青春の音がする!?」

恋バナって、どうしてあんなに盛り上がるんでしょう。

経験がなくても、聞いてるだけでなんだかドキドキ。

今回は、ことはたちがカラオケで「恋の話」をしようと試みます……が、

そう簡単に乙女トークが展開されるわけもなく!?

恋より先にマイクを握ってしまう彼女たちの、

にぎやかでちょっと空回りな放課後、どうぞお楽しみください。

「いぇーい! 今日は歌いまくるぞーっ!」


ことはがテンションMAXで手を上げる。場所はカラオケボックスの一室。

メンバーはことは、しおん、みゆき、そしてりな先輩。まさかの学年を超えたカラオケ大会である。


「えっ、なにこのテンション……音程合わせられるのか心配なんだけど」


しおんが苦笑いしながらリモコンを握る。


「ことは、さっそく予約してるけど……この曲ってボーカル入ってるやつじゃん」


「いいのいいの! ボーカルと一緒に歌えば上手く聞こえる気がするでしょ?」


「気がするだけで、実際そうはならないんだよねえ」


みゆきが呆れたように言うが、もう遅い。曲が流れ始めた。


──♪恋のミラクル☆トルネード──


「やっほぉおぉぉいッ!!!」


ことは、叫ぶように歌い出す。マイクの性能が悲鳴を上げている。


「おぉい! ハモりじゃなくて、単に叫んでるだけじゃん!」


「こ、鼓膜がっ……!!」


しおんは耳を押さえ、りな先輩はドリンクバーに避難。

しかし、みゆきはまさかの手拍子でノリノリである。


「いいよいいよー! テンションだけで勝負してこー!」


「この人たち、ほんとに同じ学校の生徒か……?」


やがて一通り騒いだあと、しおんが真面目な顔で言った。


「ねえ、せっかくだし“あの話”してみる?」


「“あの話”って……恋バナか!」


ことはがぴょんと反応する。


「いや、もう“あの話”って言い方が完全に秘密結社みたいになってるから」


りな先輩が呆れたように座席に戻ってきた。


「で? みんな好きな人とかいるの?」


その瞬間、空気がビミョ〜に変わる。


「……ないです(即答)」


「ワタシも……特に(うつむき)」


「え、りな先輩は?!」


「なんで私に振るの!? まぁ、いないけどね! 今のところ!」


「おぉ、全滅!!」


みゆきが感動したように拍手した。


「これはこれで貴重な瞬間だよね。恋バナしたくても、そもそも材料がない会」


「恋バナ未遂2連続、開催!」


そんな感じで、女子4人は恋の話で盛り上がる(というか滑る)カラオケタイムを全力で楽しんだ。

恋の気配はまだ遠くて、歌声はちょっとズレてる。

でも、笑い声だけは完璧にハモっていた。






エピローグ:

「なんか、歌って、叫んで、結局恋バナ失敗だったけどさ」


「うん。楽しかったね」


カラオケを出た帰り道、ことはとしおんは並んで歩く。

街灯がふたりの影を並べて伸ばしていた。


「……なんかこういうのも、青春って感じするね」


「恋より先に友情があるって、わたしたちらしいけどね」


そう言って、ふたりはまた笑った。

読んでくださってありがとうございました!

今回もまた「恋バナ未遂」な展開となりました(笑)

でも、恋の話がうまくできなくたって、みんなで笑っていられる時間こそが、

今しかない“青春”なんじゃないかなと思って描きました。


叫ぶように歌い、叫ぶように笑い、そしてちょっとだけ恥ずかしがる。

そんな彼女たちのぎこちないけどキラキラした日常が、

少しでもあなたの心に残っていたら嬉しいです。


次回もどうぞお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ