第50話「わたしたち、そして、明日へ」
ついに迎えた最終話。
中学校での日々は、いつも笑って、時に泣いて、全力で「バカして」過ごした時間でした。
さくらたち4人の最後の1日が、どうかあなたにとっても、少しだけ青春の香りを届けられますように。
「終わり」は「始まり」――そんな気持ちで、このお話をお届けします。
卒業式の朝。
校門をくぐる瞬間、さくらの足が一瞬止まる。
いつもと同じはずの校舎が、今日はどこか特別に見える。
「……ほんとに卒業、するんだなぁ」
つぶやいた声に、後ろからポンと肩をたたく手があった。
「泣くの早いよ、さくら」
ことはだった。すぐ隣には、くるみとみゆきもいる。
4人が揃うのは、いつも通り。でも、今日はやっぱり少し違う。
体育館での式。
少し緊張した面持ちの生徒たち。
呼ばれる名前。渡される卒業証書。
そのひとつひとつが、「終わり」を実感させてくる。
けれど――
「“卒業”って、“別れ”じゃないと思うんだ」
式が終わって、校庭に出たとき、くるみがぽつりとつぶやいた。
「むしろ、“スタート”だよね。これから新しいステージに行くってことだし」
「うん、私たちが一緒に過ごした日々も、全部そこに繋がってる」
みゆきとことはが続く。
さくらは、ちょっと涙ぐみながら笑った。
「そっか……そっか! だったら、黒歴史ノートの続編も、ここから始まるんだね!」
「いや、それは卒業しても封印で」
「わーん!!」
笑い声が咲いた。まるで春の花が咲き誇るみたいに。
「じゃあ、最後に4人で、写真撮ろ!」
スマホをセットして、肩を寄せ合って――パシャッ。
画面に映ったのは、泣き笑いの4人。
中学生活の、いちばんバカで、いちばん大事な宝物だった。
エピローグ
数年後。
春の陽気に誘われて、とあるカフェで再会した4人。
「おっひさー! 大人になったー? 私は無理ー!」
「社会人になっても変わらないとか、もはや才能じゃん」
「さくらの“詩人ノート”第3章、実は楽しみにしてたんだけど」
「公開処刑やめろぉぉぉぉ!!」
笑い声は変わらない。
何年たっても、バカはバカのままで、でもそれが嬉しい。
「また、バカしようね」
「うん、いつだって、また“今日”みたいに」
春は、何度でもやってくる。
新しい日々が始まっても、わたしたちは――
今日も平和に、バカしてる。
『わたしたち、今日も平和にバカしてます。』
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました!
ギャグとほのぼのを中心に、日常の中の“かけがえのなさ”を描きたいと思って始めたこのシリーズ。
毎話バカなことばかりしていた彼女たちにも、卒業という“一区切り”がやってきました。
でも、彼女たちはきっとこれからも、笑いながら、新しい日々を進んでいくんだと思います。
誰かの中学時代を思い出させるような、
あるいはこれからの青春を楽しみにさせるような、
そんな物語になれていたら嬉しいです。
また、どこかで――
次の「平和なバカ」を一緒に楽しめますように!




