第5話:「ことはと、図書室に潜む恋バナ(未遂)」
恋の話って、なんだかちょっと照れくさい。
でも、クラスの誰かが話し始めると、どうしても耳がダンボになるのが中学生あるある。
今日のことはは、なんだか“恋バナ”に憧れてるご様子。
でも、恋に関する知識はゼロ、経験もゼロ。
さてさて、そんな彼女が繰り広げる“恋愛っぽい空気”の図書室劇場、
どうぞご覧ください。
放課後の図書室。
静かな空気の中、ことはとしおんは仲良く並んで座っていた。
「ねえしおん、恋ってさ……なんだと思う?」
突然のことばに、しおんはびっくりして本から目を上げた。
「え? いきなりどうしたの?」
「いや、なんかさ、最近みんな“恋バナ”してるじゃん。楽しそうだなーって思って」
「ふむ。恋か……それはね、“心がドキドキすること”だよ」
「ドキドキって……あれ?」
ことはの顔が一瞬赤くなる。
「まさか、ことは……」
「ちがうちがう! ただの妄想!」
そこへ、りな先輩が図書室に入ってきた。
「おっと、恋バナですか? それともまた勉強から逃げてるだけ?」
「逃げてないよ!今日はちょっと真面目な話を……」
ことははそう言いながら、なんとか話題を変えようと必死だった。
「でもさ、恋バナって言っても結局“好きな人がいるか”とかでしょ?」
「そうだね。でも好きな人がいるだけで、毎日がちょっと楽しくなるんだよ」
「毎日楽しくなる……かぁ」
ことはは遠い目をした。
そんな時、みゆきが廊下から声をかけてきた。
「おーい、ことは、今度一緒にカラオケ行かない?」
「いいね! それで、みんなで恋バナ大会しようよ!」
「やだ、恥ずかしいよ〜!」
みんなの声が響き、図書室は一気に賑やかになった。
エピローグ:
恋バナはまだまだ未遂だけど、ことはたちの距離は少しずつ縮まっている。
青春って、こんな小さな会話から始まるんだなぁ。
次回は、カラオケでの珍事件が待っている……!
お楽しみに!
最後まで読んでくださってありがとうございました!
今回のテーマは「恋バナ未遂」。
タイトル通り、恋の話にはなりそうでならない、ちょっとズレた会話の応酬でした(笑)
“恋ってなに?”という問いかけは、
ことはにとっては深遠で、しおんにとってはツッコミ待ちで、
りな先輩にとっては軽くあしらう案件でしたが、
誰も傷つかず、誰も悩まず、みんなでワイワイできるのが、
この作品の良さでもあるなと改めて感じました。
次回は、噂の“恋バナ大会(仮)”がカラオケで開幕……?
またお会いしましょう!