第34話:「かえでと、迷子の子猫と見つけた居場所」
いつもテンション全開のかえでですが、今回はちょっと優しくて頼れる一面を。
“居場所”って、実はそんなに特別なものじゃないのかもしれません。
ある放課後。
「うおおおおお! 猫だああああ!!!」
かえでの雄叫びが商店街にこだました。
段ボールの中に、ぽつんと座る小さな白い子猫。
見た瞬間、かえでの“世話焼きスイッチ”がONになるのは、当然の運命だった。
■猫探偵・かえで始動!
「よし、名探偵かえで、出動だッ!」
「いや、あんた動物探偵でしょ今回は」
「ちがう、名探偵だ! 謎はすべて解くし、事件も解決する!」
ことはの冷静なツッコミを華麗にスルーして、かえでは猫の持ち主探しを開始。
商店街の人々に聞き込みをしては、
「この猫、知ってますか!?」
「知らないけど、かわいいねぇ~」
「かわいさでは誰にも負けません!」
「いや、それは猫に言って……」
という感じで空回りしていた。
■みゆきのひらめき
「ねぇ、写真撮ってSNSに載せてみない? 『迷子の子猫探してます』って」
「天才かよみゆき! でもそのアプリ、インストールの仕方わからない!」
「……任せて(半ば呆れつつ)」
■飼い主、現る
それから1時間後――
「すみません、その子、うちの“ミルク”です!」
小さな女の子が、母親に手を引かれて駆け寄ってきた。
「よかったねえ~!」
「お名前呼んでみて?」
「ミルクぅ~!」
すると、子猫は「にゃぁ」と鳴いて、小さな手にぴょんっと乗った。
その様子を見て、かえでは満面の笑みを浮かべた。
エピローグ:
帰り道。
「なんかさ、あの子猫だけじゃなくて……」
「……?」
「かえでも“誰かの役に立てる場所”、ちゃんとあるんだなーって」
「ふふん。わたしに解けぬ謎などないからな!!(謎解いてない)」
「かえで、あの子とどっちが迷子だったのかな?」
「えっ、えっ、どゆこと!? やめて、哲学っぽいのやめて!!」
笑いながら、夕焼けの帰り道を4人は歩いていく。
子猫も、かえでも、自分の場所に帰っていくのだった。
どこにいても、自分を笑ってくれる、手を引いてくれる人がいれば、
それが「居場所」になる――そんなテーマをこっそり込めました。




