第33話:「ことはと、深夜ラジオと秘密のお便り」
今回の主役はことは。普段はしっかり者だけど、実は繊細で、ちょっと照れ屋。
そんな彼女の“内緒の趣味”と、友情のほのあたたかい瞬間を描きました。
ことはには、ひそかに楽しみにしている夜の習慣がある。
それは――深夜ラジオ。
AM0:00に始まる『青春だもの☆きらきらトーク!』。
パーソナリティは、テンション高めな芸人さんと、落ち着いた声の女性アシスタント。
学校での疲れも、提出物の焦りも、布団に入ってこの声を聴けば不思議とどうでもよくなる。
「今日も“おたより”読まれるといいなあ……」
■お便りの正体
ことはは、実は番組宛に毎週おたよりを送っている“常連投稿者”だ。
ペンネームは「電波の片隅のコトハ」。
内容は毎回、ちょっとした愚痴や日常の観察日記、それから――
「うちのクラスの“天然女王”が、今日また『廊下を制する者は時空を制す』とか言ってました」
――そう、主に“かえで”と“みゆき”の奇行をネタにしていた。
■みゆきの反応
ある日、ことはのスマホから流れるラジオを偶然聞いてしまったみゆき。
「……え、これ私の話じゃない? “カフェオレと味噌汁を間違えて持ってった女子”って、絶対私じゃない?」
「ち、ちがうよー!? たまたま似てるだけじゃないかなー!?(棒読み)」
「いや逆にそんな人ほかにいる!?!?!?」
ことはのペンネームがバレるのも時間の問題だった。
■ついに読まれた“大作”
ある夜、ことはは勇気を出して送った。
『実は今、親友に自分の秘密がバレそうです。
でもバレても、きっと笑ってくれる子たちなので。
今日もきっと、大丈夫。――電波の片隅のコトハ』
パーソナリティの声がふわりと夜を包む。
「なんかさ……こういうの、いいよね。笑われることがあっても、一緒に笑ってくれる人がいるって、ほんと強いよ」
エピローグ:
翌朝。
教室に入るなり、みゆきがにやにやしながら寄ってきた。
「ねえ、“電波の片隅のコトハ”さんってさー、いい文章書くよね~?」
「……見逃してください(小声)」
「ううん。むしろファンになった。毎週楽しみにしてるね、ラジオも、あなたも!」
ことはは顔を真っ赤にして、自分の席に崩れ落ちた。
誰しも、ひとつくらい“誰にも言ってない秘密”がありますよね。
でも、それを知っても笑い飛ばしてくれる友達がいるのなら、
その秘密は、きっと大事な宝物になるのかもしれません。




