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第3話:「転んだ理由は“見栄”でした」

思春期の中学生にとって、"かっこよさ"や"見られ方"は意外と重要。

……たとえ、そのせいで電柱に突っ込もうとも。

今回は、ことはが「ちょっと背伸びして」痛い目を見る(物理的に)お話です。

ちょっとした見栄と、ちょっとした優しさに、じんわり笑える日常をどうぞ。

朝の登校時間。

中学2年生のことはは、今日も元気いっぱい……と言いたいところだが、なぜか妙に足早だ。


「うおおおおお!絶対間に合わないっ!!」


制服のスカートをひらひらさせて、通学路を全力疾走。

それもそのはず、いつもより20分寝坊したのだ。


「はぁ、はぁ……あと角を曲がれば……!」


しかし、その角には――


「おはよ、ことはー」


いつもより早めに登校していたしおんとりな先輩が、仲良く歩いていた。


「や、やばいっ……このダッシュ姿、見られるのは……中2女子として、いろいろとアウトッ!!」


あまりにも必死な顔、髪のぼさぼさ、そして手に持ってる食べかけのトースト。


「今止まったら負ける――!」


ことはは、なぜか謎の見栄を張ってそのまま走り抜けようとした。


「おーい、ことは、なんかすごい勢いで――」


バシュッ!!


「ふぎゃっ!!!」


盛大に電柱にぶつかった。


教室に着いた頃には、ことはの額にはしっかり絆創膏。


「痛いし恥ずかしいし、お腹は減ったし、もう今日休んでいいかな……」


「それ全部、自分のせいじゃん……」


しおんがあきれつつも、絆創膏を貼ってくれたらしい。


「でもさ、ことはの“かっこつけスイッチ”って、どこで入るの? 自爆率100%なんだけど」


「それが女の見栄というものだよ、しおんくん」


「いや、男子扱いしないで」


その日の帰り道。

またまたりな先輩と一緒になったことはは、ふと話しかけられた。


「……あの時さ。角で走ってきたとき、見てたよ」


「ひえっ!? や、やっぱ見てましたか!?」


「うん。すごい勢いで、すっころんだのも。あれ、マンガなら効果音『ガッシャーン!』だね」


「その例えいらないです……」


でも、りな先輩はふふっと笑って言った。


「でもね、転んだあとすぐ立ち上がることはの方が、かっこよかったよ」


「え……」


その一言に、ことははしばらく黙って歩いていたけど――


「……うん、明日もかっこつけていくわ!!」


「いやそこは学習して!!」





エピローグ:

“転ばない努力”より、“転んだあとどうするか”。

ことはの中学生道は、見栄と恥と笑いでできている。


たぶん明日も、きっとなにかやらかす。

でもそれが彼女らしさだ。


そしてまた、しおんとりな先輩がツッコミを入れる日常が続いていく――。

今回も最後まで読んでくださり、ありがとうございました!

ことはの「謎の全力ぶり」は、毎度ながらツッコミどころ満載ですが、

それを笑って受け止めてくれる友達がいるっていいなぁ、と思いながら書きました。


りな先輩のツンデレ(?)な励ましも含め、

それぞれの関係性が少しずつ深まっていく様子をこれからも描いていきます。


次回はテスト勉強回ですが……ちゃんと勉強するのかどうかは、あの子たち次第ですね(笑)

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