第25話:「ことはと、学校の怪談“第七の放送室”」
“夏でもないのに怪談話”。
そう、それがうちの生徒たち。
ことはのノリと、かえでのビビりリアクションのギャップが今回の見どころです!
ある日の放課後。
ことはが唐突に言い出した。
「ねぇ、みんな。第七の放送室って知ってる?」
「は? なにそれ。学校に放送室なんて一個しかなくない?」
かえでが眉をひそめる。
「それがね、七つ目の放送室が夜中にだけ現れるって噂があって…」
「いや、それ“トイレの花子さん”的なやつじゃん!」
みゆきがツッコむ。
■放課後:調査開始!
怖がりのかえでを無理やり引き連れて、三人は校舎探検に出発。
案内役はもちろん、ことは。
「じゃあまずは、旧音楽室の裏へ……」
「なにそのいかにもな場所! やめて!」
かえでの声がうわずる。
「ちなみにこの噂、放送室のスピーカーから“誰もいないはずの声”が聞こえるって話で……」
「こわいこわいこわいこわい!!」
■そして――!
校舎裏に設置された古いスピーカーの前で、ことはが突然手を叩く。
「では、実験タイムです!」
「なに勝手に始めてるの!?」
かえでの悲鳴が響く中、ことははスピーカーに向かって叫んだ。
「第七の放送室さん! なんかしゃべってください!」
沈黙。
……からの、ザザッ……。
「ひゃああああああああああああああああ!!」
かえでは一目散に逃げ出し、みゆきもそのあとを追う。
ことはだけが、ケロリとした顔で言った。
「あ、これ風の音だね。うん」
■種明かし:
後日、風が通り抜ける場所にあるこのスピーカーは、ある周波数で“音を拾ってしまう”構造になっていたらしい。
「え、それってつまり?」
「ただの物理現象でした☆」
エピローグ:
数日後。かえではまだ旧校舎に近づこうとしない。
「いやもう、あの放送スピーカーの前は無理。トラウマになったから」
「って言いつつ、さっきチラ見してたよね?」
みゆきがニヤニヤしながら言う。
「してないし! これは警戒のための確認ってやつ!」
「ビビってる人がよく言うやつだ……」
そこへことはが、怪しげなノートを片手に現れた。
「実は……第七の放送室の続きを見つけました!」
「続き!?」
「うん、放送室の声に三回話しかけると、次は“放送される側”になるって……」
「だからやめろぉぉぉーー!!」
教室には今日も、元気な叫び声が響き渡る。
そして「第七の放送室」の噂は、また一つ尾ひれをつけて、別の誰かに伝わっていくのだった――。
第七の放送室は実在しません。たぶん。
でも、こういう「ちょっと怖いけどくだらない話」って、学生時代には必要ですよね!
かえではもうしばらく旧校舎に近づきません(笑)




