第17話:「かえでと、どっちが嘘つき選手権」
こんにちは!今回はちょっぴり“心理戦”がテーマ(?)のお話です。
中学生女子の「ちょっとした嘘」って、かわいくもあり、どこか怖くもあり……。
そんなふわふわした楽しいやりとりを、ぜひ楽しんでください!
昼休み。ことはが唐突に言い出した。
「ねえ、“嘘つき選手権”しない?」
「……なにそれ、また謎のことは企画?」
みゆきが、ちょっと嫌な予感をにじませる。
「嘘をついて、どこまで相手を信じさせられるかってゲーム!
騙したら勝ち、見破ったら勝ち。名づけて、“どっちが嘘つき選手権”!」
「いやもう、タイトルが信用ゼロすぎる……」
けど、かえではノリノリだった。
「やろやろ! 私、演技派だよ〜?」
「ほら、始まってるかもしれないじゃん、すでに……」
「やめて、何も信じられなくなるやつ……!」
■第1ラウンド:かえで vs みゆき
かえで「……実はわたし、朝に犬助けたんだよね。車道に出そうになっててさ」
みゆき「え、かっこいい! そうなんだ! え、じゃあ遅刻しそうだったの?」
かえで「うん、でも“正義には遅刻の価値がある”って言ってさ!」
みゆき「なにその名言……! めっちゃいい話……」
ことは「はい、ストップ。みゆき、どう思う?」
みゆき「……信じる。かえでならやるって、思った……!」
かえで「……へへ、全部ウソ〜〜〜!」
みゆき「心が……心が汚染された……!」
■第2ラウンド:ことは vs かえで
ことは「わたし、昔、海外ドラマに子役で出てた」
かえで「へ〜……って、それはさすがにウソでしょ?」
ことは「いや、しかも“セリフなしの幽霊役”だったから、日本でも未放送」
かえで「え、でも……それっぽいな、なんかことはだし……うーん……」
ことは「しかもそのとき、監督に“無口の天才”って言われた」
かえで「うっわあ〜〜〜〜〜! 信じたくないけど、信じちゃう!!」
ことは「……ウソです」
かえで「だまされたぁぁぁぁぁ!」
■結果発表
3人とも2戦ずつしたけど、結論。
「……みんな、ウソつくの上手くなってない?」
「ちょっと将来が心配になるよね……」
「“中学生女子の嘘”って、なんか妙にリアルで怖いよね……」
その日の午後、3人は互いの発言すべてに「それって本当?」と問い直し合っていた。
平和に楽しい、疑心暗鬼の午後だった。
エピローグ:
放課後、3人が帰り道を歩いていると、かえでが突然言った。
「ねえ、今日の放課後、芸能スカウトされた」
「は!?」
「ま、またウソ!?」
かえではにっと笑って、走り出した。
「それは……ヒミツ〜〜!」
「もう誰も信じられない〜〜!」
春風が吹き抜ける中、3人の笑い声が響いた。
“嘘つき選手権”、本当にやったら最後、何も信じられなくなる気がします(笑)
でも、友達同士だからこそ成立する、そんな遊び。
ことは・かえで・みゆきの仲の良さがじんわり伝わったなら嬉しいです!