第1話:「この始業式、なにかがおかしい。」
新学期。桜が舞う中、期待と緊張に胸を躍らせる――なんて、よくある青春ドラマ。
でもこの子たちはちょっと違う。
なにかやらかしそうな予感がするけど、たぶんそれでいい。
「中学ライフ、ぜんぶ笑い飛ばしていこう!」
そんな気持ちで始まる、女子中学生たちのちょっとズレた日常をお楽しみください。
「……で、ことはは何を持ってきたの?」
「え? ランドセル」
「中学生でランドセル!? あともう一つ、色も桜ピンクって何!?」
新学期初日、しおんは冷静だった。
一方、ことはは桜ピンクのランドセルを背負い、目をキラキラさせて教室に現れた。
「ねぇ、しおん。知ってる? 始業式って、寝ててもバレないんだよ」
「その発言がバレてるの。あとで先生にチクるから覚悟しといて」
そんな騒がしい2人の前に、ふらりと現れたのは、3年生の桐谷りな先輩。
「……ランドセル、似合うな」
「ありがとうございますっ! やっぱ先輩は見る目が違いますねっ!」
「いや褒めてるのか分からないでしょ!? 先輩なんでここにいるんですか!?」
「……校舎間違えた」
「落ち着いてください先輩! それ3年間通ってて初じゃないですか!?」
りなは気まずそうに頭をかきながら、なぜかことはのランドセルの横で自撮りを始める。
春――なのにこの教室だけ、明らかにおかしい空気が漂っていた。
その後も、始業式の校長先生の話を「棒読みすぎてAIかと…」と誤爆したり、
教科書配布で『保健体育』だけ3冊持っていたことはが変態呼ばわりされたり、
しおんが真面目にノートを取っていたら「それ全部Twitterでバズりそう」と褒められたり――
「今年も……絶対まともに終わらない」
「うん、それはもう決定事項だと思う」
エピローグ:
平和ってこういうことなのかもしれない。
日常の中のどうでもいい出来事で笑い合える、それだけでなんだか今日が特別になる。
ランドセルと始業式と、謎の先輩。
今年のわたしたちの物語が、また動き始めた。
読んでくださってありがとうございました!
第1話からすでにこのカオス感ですが、これが彼女たちの日常です(笑)
ことは・しおん・りなの3人が、どうでもいいことに全力でぶつかっていく姿を、
のんびり、くすっと笑いながら見守っていただけたら嬉しいです。
次回は「お弁当を忘れた日のサバイバル戦争(仮)」でお届け予定!
次回もお楽しみに!