17
洞窟の前に誰かがいる。
NPCかと遠目に見えたそれは男性のプレイヤー2人だった。
さらに言うとラジェとアーチェさん・・・。
なにしてるんですか、あなたたち。
「お、来たな」
ラジェさんがにやっと笑いながら片腕をあげた。
アーチェさんは困ったようににこっと笑っている。
「お二人とも何をしてるんですか?」
「ん、ギルドの新入りを助けてやろうと思ったんだよ」
「あやしいです・・・」
「何言ってるんだ。助けるさ。この男がね」
バンとアーチェさんを叩く。
「ラジェさんは何をするんですか?」
「ん、そりゃあ写真撮影に決まってるだろ」
「え・・・まじですか・・」
「まじまじ。じゃあがんばっていこうか~」
ジト目で睨んでも効果なし・・・。
この人高レベルなのになんでこんなことに情熱傾けるんだろう。
しょうがないので、そのまま洞窟に入っていく。
どうせ初心者用の洞窟だろうから、問題なく進めるでしょう。
シャッターをきるラジェさんを極力脳内から追い出して、どんどん進んでいく。
細長い廊下にはときどき松明がついていて、歩きやすい。
向こうからこちらにスライムが溶けたような水っぽいモンスターが近づいてきた。
タイミングを合わせて短剣を突き刺す。
んと、ポイズンスライムか。毒持ってるかもしれないね。
とはいえ、何も持ってきてないので、必死で短剣を突き刺す。
5回ほど刺したところでやっと倒せた。なんとか毒にはかからずにすんだかな。
ふぅっと息をつくと、横からパシャ。
人が必死で戦っているのに、なんかイラっとしたのでスライムの切れ端を投げつける。
「うぉ、レンズが汚れるだろ」
いつのまにカメラマン魂を習得したんだ・・・。
しょうがないのでそのままどんどん進んでいくと、1匹づつスライムが現れ、そのたびに撃破していった。
ピコン、短剣スキル、ダブルアタックを手に入れましたとのアナウンスが聞こえる。
「あ、スキルを手に入れたみたい」
「お、やったな」
「よかったね」
「スキルを手に入れたわね。アクティブスキルは技の名前を宣言するか、タイミングよく体を使うかで発動するわよ。最初は宣言して勝手に体が動くのを覚えるのがいいわよ」
妖精ルーナが補足説明してくれる。
よし、ちょうど向こうからやってきてる敵がいるから使ってみよう。
「ダブルアタック!」
体が勝手に動いて敵に2度の攻撃を与える。なるほど、このタイミングを覚えるのが難しそうだわ。
「ひゅーひゅー、いいねいいねー」
気が散るしね・・・。