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そうしているとプルルルと電話のような音が鳴った。
「ん?これなんだろう?」
不思議に思っていると妖精が答えてくれた。
「囁きチャットの要請ね。システムで確認できるわよ」
ほうほう。ウルフを屠りつつ確認してみると姫ちゃんの文字が・・・。
んー。無視していいかな・・・。
明らかに面倒くさそうな粘着からの囁きに・・・・はい、好奇心がうずいてついとっちゃいました。
「あ、つながった~。姫ちゃんだよぉ~」
う、早くも後悔が・・・。
好奇心が人を殺すというのは本当かもしれない。
しょうがないので片手間にウルフをどんどん屠りながら返事する。
「あー昨日ぶりです。どうかしたんですか?」
「えとねぇ、すっごい一大事なの」
「彼氏と喧嘩でもしましたか?」
「ええええ。言ってないのになんでわかるのぉおお」
イラッとしたのでウルフにザクザク短剣を突き刺す。
そんなことだろうと思ってたけどね・・・。
「あのね、今日ね朝起きて、ご飯はねパンを食べたんだよー。それでね、服を着替えて~今日のお化粧は~・・・・」
よし、あっちのウルフも釣ってこよう。
そろそろ会心がでたら一撃で倒せるようになってきたね。
次の敵を狩りに行きたいけど、片手間じゃあそこまでできないしなあ。
はやく囁き切りたいけど、これは3時間はかかるコースだなー。
「それでねー。待ち合わせ場所にいったら~彼は今日も格好いいのねーそれでね~・・」
よし、避ける練習もしながら倒していってみう。
一定の時間ごとに攻撃してくるから大分見切るのも上手になってきた。
攻撃してきたやつをカウンター攻撃で倒していく。
ん~わたし上手!
「あ~そういえば、彼氏さんとは現実でもお付き合いされてるんですか?」
ぶった切って気になることも聞いてみる。
「え~、そんなわけないよ~。旦那いるし~」
「あ、そうなんですか。旦那様とは一緒にされないんですか?」
「え~、ぜったいイヤだよぉ」
現実に旦那さんがいるのか。こんなの選んだ時点で終わってるよね。
まあ、このキャラのままとも限らないけど。
「そんなことよりもね~。姫ちゃんのこと今日は褒めてくれなかったんだよぉ~」
「はあ」
あとは何も聞かずにどんどんウルフだけに集中していく。
こういうタイプは別に聞いてなくてもいいんだよね。ただ自分が話したいだけだから。
現実だと受話器をそのへんに放置しておくんだけど・・・。
ホント壁にでも話しかけてほしいものです。
散々粘着がしゃべっている間にウルフが消えていく。
LVアップもさらに果たし、そろそろ3時間くらいたったかなというあたりでまたしてもアナウンスが流れた。
ウルフを500匹倒しました。特殊バッシブスキル、ウルフの足(改)を手に入れましたとのアナウンスが流れた。
んーと、さらに足が早くなるのか。
足が早いのは便利だねー。
みんな知ったらこの辺はもっと混雑するんじゃないかなぁ。
そうこうしているうちに姫ちゃんは満足したらしい。
「あ、彼から囁ききたやー。切るね」
ぷちっと突然切られた。
次からは絶対に囁きは取るまい・・・。