普通の妹?
真希と紫苑の対決は真希の勝ちだった。しかし、真希は「こんなの勝負じゃないからいい!」と言い切り、勝負自体がなかったことになった。
数分後、駿斗と千明が戻ってきた。
千明の様子を見る限り、告白は成功しなかったようだ。彼女の顔は青ざめ、駿斗もどこか気まずそうな表情をしている。
夏菜、紫苑、真希もそんな二人の雰囲気を感じたのか、二人をなるべく近づけないようにその後を行動していた。
数時間後、俺たちはプールを後にした。
駅に着くと、それぞれ自転車で帰路につき、解散となった。そして今、俺は真希と並んで歩いている。
「ねぇねぇ、千明って駿斗に告白して振られちゃったのかな?」
俺が何か知っているのではないかと、真希が尋ねてくる。しかし、正直なところ、今回の件については何も知らない。だが、あの雰囲気からすると振られた可能性が高そうだ。他の理由も考えられるが、今のところは分からない。
「分からん。ただ、二人の間で何かあったのは、雰囲気で伝わってきたな」
「ふぅーん、今度は本当っぽいね」
「どうしてそう思う?」
「だって、兄さんが嘘をついてるかどうかなんて、分かるもん」
「なぜ分かるんだ?」
もしかすると、自分でも気づかないうちに、嘘をつくときに特定の仕草をしているのかもしれない。そう思った俺は、真希に問いかけた。
「うーん…………」
真希はちらっと俺の顔を見て、少し頬を赤らめながら口を開く。
「愛…………かな」
「愛?」
「そ、そう!全人類の(普通)の妹って、兄を愛してるんだよ!だから、嘘をついてるかどうかも、何を考えてるのかも、まるでテレパシーみたいに分かるの!そう!血が繋がっていなくても、妹になった瞬間に自然と分かるようになるの!分かった?」
手をあちこち振り回しながら熱弁する真希を見て、俺は少し学習した。
なるほど、誰しも(普通)の妹になると、兄の考えが分かるようになるのか、と。
それにしても、紫苑は最後の最後まで挙動不審だった。ただ、助けるために口移しで空気を送っただけなのだが、まずかっただろうか?真希にした時には、「普通」だと教わったのだが…………
いや、それでも構わない。紫苑がいずれ自分から「秘密」を話すようになるまで、「貸し」を作り続ける方針に変わりはない。ただ、もし接触を避けられるようになると、少々厄介だな。
そんなことを考えながら、俺は今後の対応を思案しつつ帰宅するのだった。
プール編 完




