S8 親愛なるスムードワーム様へ
S8 親愛なるスムードワーム様へ
創世暦元年 3月6日
GOD:Luna 惑星:Luna Lee
世の中には無駄なものなんてありません。
たとえどんなに見かけがあれでしたって、みな支え合って生きているんです。
孤高に生きているという方は求められていることを知ってください。
この世界にはあなたの力を必要としてる人たちがどんなにたくさんいることか。
近くでみるとあんなに気持ち悪いランプワームだって夜になれば海岸を照らす幻想的な明りになります。
外見で物事を判断するということはとても愚かなことです。その生命が携えている素敵な才能を見抜いてあげてください。
だから、今わたしの目の前に生えているこのランプワームの上位種にだってきっといいところがあるんです。
昼の海岸は光で溢れています。その輝きが眩しすぎてあなたの姿をくらませているいるだけなんです。
夜になれば綺麗に光るかもしれません。いいえ、光りません。幻想的に輝くのはワーム系モンスターの中ではランプワームだけです。
ではよく見つめてみれば色合いやフォルムの中に美しさが見出せるのでは。いいえ、ぶよぶよとした外皮はたるんでいて土色に濁っています。
では、きっと神々の意識体であるアバターには非常に友好的な生物なんですよ。いいえ、彼らは食べ物以外に興味を示しません。
スムードワームさん、お願いです。あなたの良いところを教えて下さい。
わたしはあなたのことを好きになりたいんです。
絶対にあなたにだっていいところがあるんですから。
だから、こんな岩陰の暗がりに隠れてないで太陽の陽射しに向かってまっすぐに伸びて下さい。
そんなに身体をうにょうにょとくねらせて。
もしかして、体外に胆石を吐き出すのでしょうか。
ランプワームが吐き出す胆石はとても綺麗で夜になるとぼんやり光るんです。同族であるスムードワームさんにも同じような性質があるのでは?
これはわたしたちの友好の証になるのかもしれません。
ありがとう、スムードワームさん。大切にするから。
口から吐き出されたその真白な胆石。
近づいてそっと手を伸ばして。
きらめく石の光沢はきっとあなたからの心配りですね。
ありがとう、大切にし……
ク……サ……イ……!!
クサイです。とってもクサイです。
鼻が曲がるほどクシャイです!!
あう、目にしみます。
ひどいです。あんまりです。
せっかく友達になれると思ったのに!
これはやはりわたしたちに残された道は一つしかありません。
戦いましょう! ええ、そうですとも。
あならが裏切ったのれすから。
文句はありまえんね。
傍らであまりの悪臭にチェリオがひっくり返ってます。
うぬぬ。よくも、チェリオを!
あなたの仇はわたしがとってあげますから。
スムードワーム、覚悟!!