S7 白毛の誘惑
S7 白毛の誘惑
創世暦元年 3月2日
GOD:Luna 惑星:Luna Lee
う~ん、癒されます。さくらんぼを食べる仕草が全く一緒ですね。
前足で口元をかきながら綺麗にへたをとって。
あ、ちゃんと種は吐き出さないとダメですよ。じゃないとおなかの中で芽が出ちゃいますからね。
おばあちゃんによく言われましたから。
それにしても、いつまで眺めていても飽きないです。
は、すみません。冒頭から取り乱しました。
実は今日はチェリオにお友達ができたんですよ。お友達といってもペットが増えたわけではなくて、同族というのでしょうか。
姿形は一緒なんですけど、チェリオの桃色毛に対して彼らは真白な毛並みです。
ああ、可愛い。チェリオと一緒で足元にすり寄ってくるので、思わずキャッチしたくなっちゃいますがダメですダメです。
今は必至に心をいさめて、さくらんぼをあげるにとどまっています。
チェリオも嬉しそうですね。はじめは戸惑っていましたけど、すぐにみなと友達になれたようです。
身体を寄せ合いながらさくらんぼを美味しそうに食べる仕草がほんとうに可愛くて可愛くて、ああ持ち帰りたい!
あまりの可愛さに気を抜くとすぐに自制心がどこかへ飛んでしまいそうですが、World Creation Onlineに限らずこうした姿形が似通ったモンスターというのはRPGではよく使われる手法なんですよね。
俗に言われる色違いというやつでカラーバリエーションを変えて、異なるモンスターに仕立て上げられているわけです。
ただこうしてみて見ると、この世界ではただ単純にモンスターは色違いなわけではなくて、大きさも違うし、尻尾の長さも違うし、耳の長さも違うしと微妙に個体差があります。
なので、やっぱりチェリオはこの世界にはただ一匹しか存在しないとも言えます。
大丈夫だよ、チェリオ。
わたしは絶対に裏切らないから。
あなたが一番可愛いよ。
わたしの気持ちが通じたのでしょうか。
今チェリオが顔を上げてわたしのことを見つめています。
こっちにくるでしょうか。いえ、またさくらんぼを美味しそうに食べ始めました。
花より団子とはこのことです。
先週、日誌でElmaさんからご助言を頂いたんですけど、ペットを増やしたらどうですかというアドバイスですね。正直、すごく悩みました。やっぱり仲間は多ければ多い方がいいし、マンドラゴラは容姿的にあれですけれどもウーピィを仲間にしたらチェリオもきっと喜ぶだろうなって。
ただ始めに一度決めたことなので、とりあえずはやれるところまでやってみてダメだったら仲間を増やそうと、最終的に行き着く結論はそこなんです。
ただ結論を出しているのに、何度も何度も考えちゃうんです。
こんなに可愛いチェリオのお友達を見ていると、手を伸ばしてひとことキャッチというだけで可愛い仲間が増えるんです。
この誘惑がなかなか……
でも、いつかきっと冒険一緒にして下さいね。
それまでわたしも勉強して立派なモンスタートレーナーになってますので。
頑張りますよ。
最後にみなさんも思っていることかもしれないのですが、やれるとこまでやるっていうわたしのポリシーですけど。
一体何を目的としてやれるところまでやるのかなってことですよね。
レベルを限界まで上げることなのか、それともこのゲームの中で一番強いモンスターを倒すことなのか。色々目標は考えられると思うんですが、実はこれも決まっているんです。
わたしの掲げる目標というのはいつもすごく敷居が低くてですね。できそうなことを目標にして次々と達成するんです。
例えば最初だと、まずはチェリオを仲間にすることでしたよね。
その目標は達成できたので、次の目標に移りたいと思うのですが。
実はこの世界にはわたしがこのゲームをプレイするきっかけになったモンスターがもう一種居るんです。
アップルキートンというのですけれども、高枝切りバサミにオレンジ色の頭巾をかぶったとっても可愛いモンスターでどうしても会いたかったんです。
写真で見たときに電撃が走って、この子は! と思いました。
絶対に仲間にすると決めたモンスターでもあるので、もしアップルキートンと出会えたら心の誓約を解除するかもしれません。
ただチェリオの成長をつづるこの日誌は止めません。ずっと続けて行きます。
何よりやっぱり一番大好きなのはチェリオなので、一緒に成長していきたいと思います。
でもやっぱり白毛可愛いよ……