юDiary 0/3/26 『インビジブル』 God:Goa
юDiary 0/3/26 『インビジブル』 God:Goa
創世暦元年 3月26日
GOD:Goa 惑星:Trance Works
透明人間が大好きだった。
街中を歩き悪戯を仕掛けた時の驚く人々の反応が滑稽で、まだ幼かった私は心を釘付けにされたものだ。
このWorld Creation Onlineという作品の中で透明を実現する魔法があるという話を聞いた時、私の心は踊った。まるでレトロシアターに入り浸って赤煉瓦の倉庫で旧世紀の八ミリフィルムで投影される映像を夢中で眺めていた十代に戻ったかのような錯覚を覚えた。
旧世紀で実現不可能と謳われた夢の魔法の数々は現代ではバーチャル世界を通して実現することができる。
インビジブル、このアビリティスキルもそんな夢の魔法の一つだった。
このスキルは術者を透明にする。文字通り、使用者はこの世界から姿形を消すことになる。
だが質量が失われた訳ではない。ただ目に見えなくなったというだけで使用者はそこに確かに存在するのだ。
従って当然、たとえ透明であっても攻撃を被ればダメージは受ける。
だがこんな悪戯以外に目的の思いつかない夢の魔法でも、一つ頭を捻れば使い道は幾らでも考えられる。
目に見えなくなる。それは狩りにおいて有効な手段になる。
モンスターの中には索敵に視覚を頼りとする者、また聴覚を頼りとする者、又はその両方と分かれる。
聴覚反応にインビジブルは効果はないが、だが視覚反応のモンスターには奇襲の有効な手立てになる。
ただし、注意しなければならないのは攻撃のヒットと同時にインビジブルの効果が強制的に切られることだ。
また再使用には十五分の時間経過が必要となる為、故に透明状態で一方的に攻撃を加えることはできない。
用途としては敵対状態にある視覚反応のモンスターの索敵から逃れる為に用いるか、またもう一つの使い道として戦闘中に自らへの敵対心をリセットする事が可能である。
これは戦況によってはターゲットのコントロールにおいて非常に有効な手段となるだろう。
だがそんな命を懸けた極限の戦いでこのスキルを選択するよりは、憎い友人のケツを蹴飛ばしてやる方がよっぽど有益な使い道だと思うがね。