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第6話 明らかにならない存在。

「真一 お風呂 空いたよ。お先にね。」ばっちゃんが 襖の向こうから 真一に声を掛けた。

「ばっちゃん ありがとう。入るね。」真一は 読んでいた本を閉じて 浴室に向かった。

洗濯機の上に パジャマ代わりのTシャツとジャージ 替えの下着を置き 洗濯かごの中に 今まで着ていた服を入れ 1番最後に 黒縁の眼鏡を外して Tシャツの上に置いた。

真一は 視力が悪いので 眼鏡を1番最後に外し お風呂から出たら 1番最初に 眼鏡をかけるのが 癖になっていた。


真一は 風呂では いつも ささっと洗って 湯船に ゆっくりと 浸かるのが 好きだった。

気分的にも スッキリするし もし (かい)が 憑いてたとしても 弱いやつは ゆっくり浸かっていれば 離れて行くことが多い。身体が 重く感じる時は 塩と日本酒を ちょっと入れる。


これは 小さい頃に ばっちゃんが 真一に 教えてくれたことだった。

「疲れていないかい?今日は 身体が重く感じないかい?」ばっちゃんが 真一に 聞いてくる日が あった。

ばっちゃんが 聞いてくれた日は 必ずと言っていいほど 真一は 身体が 重く感じていた。


高校生になった今 真一は その意味が わかるようになった。

ばっちゃんには きっと (かい)が 憑いていたのが 視えていたんだろう。

真一は 幼過ぎて その身体の重さの意味は わからなかった。


「身体が 重い日は 塩と日本酒を入れるといい。すっきりするよ。ただし 塩を入れた日は 追い焚きするんじゃないよ。パイプが 塩で やられちまうからね。ゆっくり浸かった方が良いけど 湯冷めしないようにな。」ばっちゃんは 取り扱い方まで 真一に きちんと教えていた。

脱衣所に 塩とお酒が 常備してある家は そうそうないだろうと思うと 真一は ちょっと笑えて来た。

ばっちゃんと真一だけが 共有する小さな秘密みたいで 真一は 少し嬉しかった。


真一が 風呂から 上がった後は ばっちゃんと一緒に TVを見る時もある。

他愛もない話をしながら ばっちゃんの好きなサスペンスドラマを見たり 真一の好きなバラエティ番組を見たりする。

真一は タオルで頭を拭きながら 居間で TVを見てるばっちゃんに「今日は ちょっと調べたいことあるから もう部屋に 行くね。」と 声をかけた。

「はい。ごゆっくり。」ばっちゃんは 振り向いて 返事をした。


部屋に入り 机に向かい 椅子に座った真一は タオルを首にかけ パソコンの電源を入れた。

自分で お年玉を貯めて買ったパソコンには 思い入れがあった。

調べものをしたり ゲームをしたり 自分1人で 好きに使えることは 真一にとって とても大切なことだった。

さっき夕食時に 思い付いた 真一が 行ける範囲の神社は どれくらいあるんだろう?とパソコンで 自宅を中心に 周辺の地図を 見てみる。


真一が いつも 行っているお気に入りの神社は 余吾神社 雄大神社 楠杉江神社の3箇所。

あまり人が 来ないけれど 綺麗に 手入れされた神社で 空気の澄んだところばかりだ。 

学校帰りに 3か所のうち どこかの神社に 必ず寄っている。

この3箇所の神社は 真一が 気付いてから 神様は 見ていない。


それ以外の神社で 地図に載っていた神社は 多尾神社 奈佐神社 鹿沢神社 常之江神社 間布好木神社。

真一が 学校帰りに 歩いて行けそうだった。上手く行けば 1日で1~2か所は 周れそうだ。


念のため 神社サイトも 調べてみる。すると 出るわ出るわ 真一が 想像してたより 遥か上の数字だった。

「え?約50社……。こんなにあるのか。」真一は パソコンの画面を 見つめたまま呟いた。

実際の地図とは 大違いだった。真一は 甘く見過ぎていたようだ。


「そう言うことか……。」地図には載っていない 小さな神社が たくさんあるらしい。

真一は 小さな町に住んでいると思っていたが 城下町なだけあって 想像以上の神社が 点在しているようだった。

「これは 思っていたより 時間が かかりそう。」真一は 考え込んだ。


(あやかし)達は 心配している。

闇も 濃くなって来ている。

真一が 出来ることは 他の神社の神様も いなくなっていないか 確認することだけしか出来ない。

だからと言って それが 何もしなくても 良い理由には ならない。


真一は 周れるだけ 周ってみようと思った。

今度は スマホを取り出し マップアプリに 50社全て マーキングを入れて行った。

真一が 少しずつ学校帰りに 寄れそうな神社に 行ってみて 土日には ばっちゃんに 自転車を借りて 行けるところまで 確認して周ってみようと思った。 


真一は 電車で それぞれ20~30分ぐらいずつかかる 観光地にある有名な河玖神社 相山神社 それに 網浜大社にも 行くつもりでいたが そっちは後回しにすることにした。

まずは 自分が 住んでいる町の神社を 周って行くのが 先だと 真一は 考えた。


今 調べておけそうなことは このくらいかなと 真一は 思った。

そして 真一は しばらく考えた後 検索バーに 文字を打ち込んだ。


妖怪師(あやかいし)


誰でも 編集が出来る 有名なサイトが 1番上に出て来た。

真一は クリックして 新しいタブで 開いた。


妖怪師(あやかいし)。】


妖怪師(あやかいしと読む)とは 主に (あやかし)を操り 協力してもらい (かい)を祓う人を差す。

(あやかし)と協力関係を保ち (かい)を祓う者もいれば (あやかし)を自分の力でねじ伏せ 主従関係を作り 祓う者もいる。

前者の場合 (あやかし)と一緒に暮らしながら お互いに協力し合って 助け合いながら (かい)を祓うが 後者の場合 妖怪師(あやかいし)の力に寄って 祓われることが多く 酷い妖怪師(あやかいし)になると (かい)を祓うためだけに (あやかし)を使い捨ての駒のような扱いをする者もいる。


(あやかし)は とても種類が多く 一般的に知られているのは 守護霊 精霊 妖精 天使ぐらいだが 眷属も (あやかし)の部類に入るため 狐 馬 牛 かえる 獅子 うさぎ 亀 狸 猫など 多種多様存在している。

また 天狗や鳳凰 鵺なども (あやかし)に 分類されると言われている。


妖怪師(あやかいし)は 己の力だけではなく (あやかし)の力を借りて 行動するため なんらかの契約が 交されているのではないかと 推測されている。

ほとんどの場合 1人の妖怪師(あやかいし)に対して 1名の(あやかし)で ペアを組むことが 多い。

だが 妖怪師(あやかいし)の中には 極稀に複数の(あやかし)と 契約している者も いるらしい。 


(あやかし)を扱うためには 最低条件として (あやかし)(かい)が 視える人でなければならない。

しかし 妖怪師(あやかいし)になる方法は ベールに包まれており 不透明な部分が多く 一般には 公開されていない。

噂によると 口伝でのみ 伝わっており 正式な文書では 残っていないとされている。


表立って姿を現す妖怪師(あやかいし)は とても少なく 人知れず ひっそりと(かい)を祓っているか (かい)と対峙しているのも 夜中ではないかと 憶測が 飛び交っている。

(かい)を祓うことから 神主や宮司など 神職に就いている者が 兼任しているのでは?と言う噂もある。


逆に 祓える素振りをすれば 素人目にはわからず 誰でも 妖怪師(あやかいし)を名乗れるため 偽物も 多く存在しているようだ。

身なりの良い(かい)を (あやかし)だと偽り 連れ歩いている者もいるようだ。

実際に騙されて お金を取られた言う被害報告も 出ているらしい。

そのため 昨今では「免許制にするべき」と言う声も 多々上がっている。


ネットで 調べてみたところで 怪しいホームページしか 出て来ないのも そのせいだろう。

妖怪師(あやかいし)の行動でさえ 伝え聞きや 誰かの噂が 飛び交っている状態である。

なんにせよ 妖怪師(あやかいし)は 不透明な部分が多く 全て 憶測の域を出ない部分が 多い。

本物と言われる妖怪師(あやかいし)こそ 表には 出て来ないのでは?と 噂されている。

謎が多いからこそ 妖怪師(あやかいし)は 世間の注目を浴びているのかもしれない。



「ふぅ……。そう言うことか……。」真一は 記事を読み終わると 眼鏡を外し 引き出しから 目薬を出して差した。

親指と人差し指で 瞼を押さえながら「妖怪師(あやかいし)から 話でも聞けたらとは 思ったけど うーーーん。それすら 難しそうなのか……。困った。」押さえていた手を 口元まで 持って行った。

「これじゃ 飛行機の中で『どなたか お医者様いませんかー?』と言うのと 一緒じゃん。」真一は 自虐的に クスクスと笑った。


「あっ。(あやかし)に 聞いてみるのもありかも。後は たまに見かけて 挨拶する宮司さんか 神主様か……。聞けそうな雰囲気の時に 聞いてみよう。」真一は 忘れないようスマホのメモアプリに 書き込んだ。

「今日 やれそうなことは これぐらいかな……?」パソコンのウィンドウを閉じて 気分転換に ゲームを立ち上げた。


真一は それから 小1時間ほど ゲームをした。

トイレに行きがてら 襖越しに ばっちゃんに「ばっちゃん もう寝るね。おやすみなさい。」と 声をかけた。「おやすみ。」と 襖越しに ばっちゃんの眠そうな声が 聞こえた。

きっと ばっちゃんも すぐ寝るだろうと 真一は 思った。


明日から 少しずつでも 神社を周ろう 忙しくなるかもと思いながら 真一は 眠りに就いた。 



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