第666次宇宙大戦
「ちょっと待て!一旦話を聞いてくれ!」
「何でもするから!お願いだ!」
「殺さないで――」
何度も、冗談ではなく数え切れない程聞いてきた言葉を、それでもエヴは気にしてしまう。一瞬、躊躇ってしまう。
エヴはもう、自分が本当は何をしたかったかなんて忘れてしまった。自分の人生なんてとっくに見失っていた。こんな世界からは消え去ってしまいたかった。
しかし、やらなければならない。戦争という手段によりヒトは消えなければならない。エヴは遠い過去にその媒介となることを選んだ。これは約束。エヴ自身が自分で選んだ道。逃げてはならない。
エヴは自分に言い聞かせ、恒久の時を生きる。苦しみを未練がましく抱えながら。
ヒトが生まれてくる限り。ヒトが進歩を繰り返す限り。ヒトがこの世界の規範を乱す限り。
戦争を起こすという、それによりヒトを殺すという、単純なやりかたで世界を保つ。ただそれだけを繰り返す。