とある報告書
【報告】
再世歴103年 12月7日 22時13分下層街ミグマの壊滅を確認
下層街ミグマ、木城家領地において極短時間の吸血鬼の覚醒状態を検知。同時刻、吸血鬼の眷属の大量発生が起こったと木城家唯一の生き残りである木城蕾とその従者数名の証言によって判明。木城家領土内の町村を襲い、数を増やした眷属が何者かの手引きによって下層街ミグマに到達したと思われる。
下層街ミグマの生存者は現段階で1432名、内184名は吸血鬼の眷属によって外傷を負っており現在隔離中。
木城家領土を発端する災害に気を病んだのか、後日木城蕾の首吊り死体が発見、従者三名は行方を眩ませた。
以下、木城蕾の遺書によって判明した事態の顛末を記す。
木城蕾の実妹である木城百合と、魚目家、知未家、ナロイド家、リガース家の各子息によって吸血との契約が行われ、そこで木城家の領土を対価に吸血鬼の唾液を入手し、それを持って異形の兵を作成しようと画策、それを知った木城蕾と従者によって説得が行われるも吸血鬼の唾液を使い、異形化した親族によって妨害される。その後、制御が出来なくなった異形により木城百合が死亡。異形化した家族から逃げる最中、木城家領土内において大規模な揺れを確認。
これ以降の記述は錯乱していたのか字の解読に時間を要したが、後日解明され、新たな吸血鬼の特性を確認。吸血鬼の血によって融解した物質は吸血鬼の血となり、新たな創造が行われる。それは大地をも溶かし、全てを血に染め上げる神の如き力。
これ以降、新たな特性を天血創造と呼称。防人への情報更新を早急に行い、調査部隊の派遣を要請する。