3キス 男は幼女と歩いていただけで通報される
俺は今警察署にいる。目の前にはおじさんという名の警部が呆れた顔でこちらを見ている。おじさんのジト目なんて、どこの誰に需要あるんだ。
「またお前か。はぁ…今度は何したんだ?」
俺は無言で目を閉じる。黙秘権バンザイ!え?なんでいつもこの主人公は警察に捕まってるの?そう思った?いやね、俺は悪いことしてないんだよ。読者のみんな、耳を貸して。そう思った矢先に隣で座っていた柚子が喋り出す。
「聞きたいのはこっちです。お兄ちゃんは私と一緒に歩いていただけです。なぜ事情聴取をするのですか?」
「匿名の通報があったんだ。女児を連れ回している不審な男を見かけたと。」
まさか幼女と歩いていただけで通報されるとは、世も末だね。今回事故でも何でも無いし、なんなんだよもう。俺は腹ただしかった。幼女をこんなにも大好きで誠実な俺が不審者扱いなこと。幼女と歩く権利をもたらさない国のこと。この世の中や社会が間違っているとさえ思った。
「今回ばかりは完全な手違いだ。帰っていいぞ。暗くなるから本物の不審者に気をつけろよ。じゅるり。」
霧雨警部は頭を下げてくれた。このおじさん見かけによらず実は良い人なのかもしれない。
「あの…なんかごめんなさい。」
「柚子は悪くないよ。なでなで。」
「きゃっ?」
不意になでなでされた柚子は可愛い声をあげた。なんてエロかわいいんだろう。俺のリアルな妹になって欲しいと心から願った。そんなやりとりをしていた矢先に突然キンキン声が鳴り響いた。振り返ると紺色こんいろの短髪幼女たんぱつようじょが俺を指さして騒いでいた。最近のおなごは人を指さすのか。全く礼儀のなっていない幼女だ。失礼すぎるだろう。
「あー!!もう出所したのか!?折角僕が通報したのに!!」
「…枇杷ちゃん?」
「柚子。この幼女と知り合いなの?」
「よ…幼女…!?」
「はい。同じクラスのお友達です。」
「お〜。そうなんだぁ!」
以下、紺色の短髪幼女を枇杷と表記する。
「柚子!なんで不審者に僕のことベラベラ話すんだよ!!」
紺色の幼女はご立腹だ。しかし、この幼女が俺を敵視している理由がわかった。どうやらこの娘は俺を不審者だと思い込んでいるようだ。全く…失敬な幼女だ。そんなに気が早いと、その平でぺったんこな胸も成長しない貧乳女になるぞ。
「お嬢ちゃん俺の話を聞いてくれないか?」
「な…なんだよ?」
「俺が不審者に見えるか?」
「見える。」
バキバキッ!俺の心は10万ポイントのダメージを受けた。俺が項垂れていると柚子が説明を始めた。
「このお兄ちゃんは悪い人じゃないの。エッチなだけなの。」
グサグサッ!ゴロゴロゴロ!ある意味こっちの方が深刻なダメージだったりする。
「そ…そうなのか?え?じゃあ僕すごい酷いことしちゃった?」
「わ、わかってくれればいいんだ。誰にだって間違いはあるさ。幼女は失敗から学べばいいよ。人生は経験だからね。発展途上の胸のように幼女には伸びしろがある。」
「お…おう。」
枇杷は若干引いていた。なぜだろうか。こんなにも良いことを言ったのに。
「2人のすれ違いが解消できて良かったです。」
柚子たんマジ天使。
「よし。仲直りの証に握手しよう!」
「え?あぁ…はい。」
枇杷はとまどいながらも、俺の握手に応じてくれた。ぐっと力づく強く手を握りしめる。
「ぐへへ。ぐへへへ。」
新たな幼女の手の感触に俺は思わず声を漏らす。
「ひっ…!?」
枇杷の顔はブルーベリーのように真っ青だった。何はともあれ、一件落着。めでたしめでたし。そう思っていると柚子が呟いた。
「…お兄ちゃんのエッチ。」
他の幼女と仲良くしたから嫉妬しっとしたのだろうか。ここは早急に関係を修復せねば。
「ゔっ…な、何言ってるの。俺の1番は柚子だから。」
そう言って抱きしめた。決まったぜ。柚子の顔はストロベリーよりも真っ赤になった。
「この人本当に通報しなくていいの?通報した方がいい気がする…。」
ちっ!いや、ちっ!ていうのは舌打ちじゃないんだ。ちっ…ちっぱいの口から、すごく物騒な言葉が聞こえた。良いムードなのに。めでたしめでたし。