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プロローグ

本日から毎日投稿していきます。よろしくお願いします。

 同級生が十一人死んだ。更に四名の精神が壊れて、再起不能となった。どうしてこうなったんだ。原因は何なんだ。とにかく思い出すんだ。俺らが、この世界に転移させられたその前から……


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 彼の名前は極道真助(きょくどうしんすけ)。高校生だ。

 今、真助は英語の授業を受けている。授業の一環としてグループ活動をしている彼は、その内容に撃沈していた。現在進行形? 現在継続形? わけわからん! これは本当に人間が使っている言語なのか? と。

 真助はそんなボス達を前になす術なく爆睡していた。




 ピシッ!


 気持ちよく寝ていた真助の頭に手の平が襲う。


「痛ってぇ、誰だぁ?」


 突然叩かれた俺は上を見上げた。


「誰だぁ? じゃないでしょ! 桜遊凜だよ、さ、ゆ、り」


「わかってるっちゅうの、ボケてただけだよ」


 彼女の名は浅倉桜遊凜(あさくらさゆり)。環境委員会所属で、学校では天使といわれている美女だ。


「あんまりボケすぎるのも良くないぞ~真助。その内喧嘩になるぞ」


「ヘーイ、わかってまっせ~」


 そう忠告してきたのは俺の親友である立元和穂(たてもとかずほ)。通称カズ。陸上部で遠投をしているので肩が強い。


「もうッ全く。さっさと課題終わらせるわよ、二人とも」


「「ヘ~イ」」


「あのぉ~一人忘れてませんか?」


 俺達の視界の外側から突然誰かの手が映った。それを見た瞬間、直ぐに誰かがわかったのでついつい大声を出してしまった。


「「「あ、そういえば!!!」」」


「酷いッ!!!」


 そういって忘れ去られ、彼らの反応にすぐさまツッコミを入れたのが串川南(くしかわみなみ)。影が薄い永久の帰宅部。


 謎の手の正体がわかったところで桜遊凜が仕切り直しと言わんかばかりに咳を一つした。


「ゴホンッ、それでは改めて。三人とも、さっさとこの課題終わらせるわよ」


「「「ヘ~イ」」」


「ちょっと! ちゃんと返事しなさーい!!!」


 俺を含めたこの四人はいつも行動を共にしている。




 今日も怒ってんなぁ~と思いつつも何気ない日常会話を俺は楽しんでいた。

 そして気が付くといつの間にか授業は終っており、休み時間に入っていた。この時間になるといつも教室後ろの扉付近にチーム運動系が。教室前の壇上付近には、チーム高音が集まるのでうるさくなる。

 今日もいつも通りうるさかった。




 この教室は主にこのような分布にわかれている。しかし、どうしても、どうやっても独りぼっちは出てきてしまうもの。それが石倉桃神(いしくらももか)だ。


 桃神は串川と同じで永久の帰宅部だ。そして彼女は、陽と陰の狭間みたいな奴なので、いい人なのか悪い人なのかがわからない。これについて本人は、満更にも誇っているらしい。


 彼女は毎日無言で必死になにかをノートに書いている。その独特の雰囲気のせいで誰も彼女に近寄らないのだ。


 一通りいつも通りの教室を見回した後、俺は前を向いて机に座り、猫背で次の授業の鐘を待っていた。その時だった。俺の心がざわめいたのは。


 突然教室全体に謎の円形の模様が現れた。そこから息つく間もなく目の前が白色の目映い光に包まれた。


「ちょっ? なになに!?」

「部屋中に紋様が!」

「ッ、眩しい……」

「きゃぁぁぁ!!」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 白色の目映い光が収まり、俺は目をゆっくりと開けた。すると目の前には見た感じ広大で奥行きのある部屋があり、そこに俺達二十六人が無造作に佇んでいた。

 すると戸惑いの声が次第に聞こえてきた。


「ここはどこだ?」

「ちょっ、なに!?」

「確か僕らは……」


 皆の戸惑いの言葉がどんどんと大きくなっていき、段々とこの場の空気は混沌に包まれていった。


「……」


 しかし何故だろう。俺は焦りを一片たりとも感じなかった。そればかりか体が自然に行動を開始した。ひどく冷静に周囲を見渡し、何がどこにあるのかなどを確認していた。自分でも驚くほどに。



 そんな混沌とした雰囲気を打ち破るかのように前方から部屋中に響く声が聞こえてきた。

 その人は高貴な服を着て、剣をぶら下げていた。


「貴殿達よ!! 突然の事で戸惑っているやもしれん!! しかし、どうか私の話を聞いて欲しい!!」


 数多の視線が声の発生源である前方へと向いた。


「私の名はマイ·キョクドウ。ツイシン王国の王女である!!」


 彼女の一言でそれまでざわざわしていたクラスメイト達の声は多少なりとも収まった感じがした。


 王女の話を聞く限りどうやらここはツイシン王国という場所らしい。異世界……か……はぁ。


 しかしなぜこの部屋はこんなにも特徴的なんだ? 窓は障子によく似てるし床は畳に酷似したものが使われているし……。それに……どこか懐かしさも感じる。不可思議だ。


 今いる場所だけでもこれだけの謎が蔓延っている。この世界の謎は一体どれだけあるのだろうか……探求したい!


 俺は止まらない探求欲を抑えることができず、いつのまにか小さな声で溜め息に似た独り言を呟いていた。


「さて。どうしたもんかねぇ……」

最後まで読んでくださりありがとうございます。ブックマークと評価をしていただけると幸いです。作者のモチベーションに繋がります。

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