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廊下を歩きながら、ヴィクトリアは昔の事を思い出していた。


(あれから色んな事があったけど、私は今、幸せだわ)


一方的な婚約破棄。

しかも醜聞の駆け落ちだ。

当時のヴィクトリアは嘲笑の的であった。

父親が総力を挙げて報復してくれたお陰で、表立ってヴィクトリアを侮蔑する者はいなくなった。が、陰口は相変わらずである。寧ろ、悪化していた。

元婚約者のノーバンド侯爵家は、今頃になってヴィクトリアの価値に気付いたのか、アーサーの代わりの男性を彼女にあてがおうと目論んでいる者達もいた。


夜会でも、ヴィクトリアを目当てにする男性達も多かった。

「婚約者に逃げられた令嬢」として有名のヴィクトリア。

特別な美人という訳でもない彼女に男性が群がる理由は唯一つ、『(かね)』だ。


その事に関しては、ヴィクトリアも理解していた。というのも、求婚者たちの目に金の文字が映っているように見えたからだ。※異世界、しかもヨーロッパ系なら日本円ではないと思います。せいぜい金貨くらいでしょうか

次の婚約者を選ぶ事にヴィクトリアも子爵家もかなり慎重になっていたのだが、相手にとってはそんな事お構いなしである。

婚約者を美人の侍女に取られた挙句に駆け落ちまでされたという、女として屈辱的な目にあわされた事を弱みとして付け込んでくる輩もいる。

世間から見ればヴィクトリアは『傷物の令嬢』だ。

男達がヴィクトリアを下に見てくるのは仕方のない状態だった。

ヴィクトリアは、自分自身を一人の女性としてではなく、金満というモノのように見て扱う男どもに辟易していた。


ただ中には実力行使に打って出る者もいる。

それが最も警戒すべき者であった。

そう、既成事実をつくろうとする相手が出てきたのだ。


力ずくでものにすれば流石に嫌とは言えない――


なんとも頭の悪い男達が世の中に多かった。

それだけ子爵家の『(かね)』は魅力的なのだ。

もっとも、そういった男の殆どが、次男以下の高位貴族で、実家が落ちぶれかけている者ばかりであった。

無理やり事に運んで婚姻しなければならない状態にしようとする男が後を絶たない。

心配した両親が、ヴィクトリアに数人の護衛を付けなければ、それが現実になっていた事だろう。

それだけ、当時のヴィクトリアは危険にさらされていた。

安全のために田舎にでも引っ越せばまだマシになるかもしれないが、それは絶対に出来ない。

それをするという事は、貴族社会に二度と返り咲く事が出来ない事を意味しているのだ。ヴィクトリアはその事を嫌というほど知っていた。


逃げる事は許されない。

子爵家のためにも、自分自身のためにも。


そんな中で出会ったのがガニメデ・スミスだ。

夫はガニメデスという名前です!

ギリシャ神話に出てくるトロイアの美貌の王子ガニュメデスをモデルにしてます(笑)



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