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第3話 こいつらも生きてるんだね


「ギャーギャギャギャ」「ギャーギャギャギャ」と笑い声が聞こえる。


笑っていられるのも今の内だと思った。もう目的の石は目の前なのだ。


俺はその石の側まで行くと、石に覆いかぶさるように体を被せた。そして、紐で縛られている部分を擦りつけた。それはもう必死に。


擦りながらもチラリとゴブリンを見る。


1匹の子ゴブリンは腹を抱えて地面を叩いている。もう1匹は手を叩いて笑っている。大人ゴブリンは大きな木を手で叩き腹を抑えて笑っている。


(こいつら笑い転げて誰も見ていない。今しかない。)


石の尖った部分に植物のツタを当て擦る。ビキビキと音が鳴る。植物の繊維が少し削れた音だ。


(早く。早く)


するとビキビキと鳴っていた音が擦る回数と共に多くの繊維が切れていく音に変化し、ブチブチと切れていった。時間にすると10秒少しくらいだが、物凄く長く感じた。解放感ハンパない。


次は足首を縛っている部分だが、これは・・・足を擦りつけるの難しい。多分上手く力を伝えきれない。


(というか、結んでいる部分を手で解いた方が早そうだ)


と結び目を解こうと指先に力を込める。


「ギャ!ギャギャギャ!」


多分、気付いたんだろう。けど、一刻も早く解くことが最優先の為にゴブリン側を見ることはしない。必死に結び目をほぐす為に力を入れる。


バシッ!


顔面に枝が当たる。メチャメチャ痛い。けど、結び目が緩み、解けてきた!


と、思っていた所に「グギャ!」と大人ゴブリンの声が聞こえた。


(流石に、アイツの棒をクリーンヒットしたら骨折か悪ければ死ぬまである!)


慌てた俺はゴブリンに顔を向けた。ゴブリンが先ほど子ゴブリンに教えてたような草薙の攻撃モーションをとっていた。


(やばい)


低めの横薙の攻撃が来るのを察知し、転がるように範囲から離れる。同時にビュン!と棒が通り過ぎる音が聞こえた。


背中にゾクゾクする何かを感じながらも、縮めた足をゴブリン側に向けいつでも寝ながらでも蹴りを入れられる体制にしながらも紐を解いていく。


グルグル巻きにされており、紐をいちいち回転させないといけないのが苛立たしい。


ゴブリンが棒を上に振りかぶり打ち下ろしをしかけてきた。そのタイミングを見計らってゴブリンに向けて縮めた足を延ばして腹にケリを入れる。ゴブリンを後退させながらも振り下ろしてきた棒が脛に当たる。相打ちである。


「ッッッ」


声にならない悲鳴をあげ、それでも紐を解くのが先と紐を解くために回す。子ゴブリンが枝で叩いてくるが無視である。


(緩んだ!)


ある一定まで紐を解くと先ほどまで締め付けていた足の縛りはパラパラと自然に緩んでいく。俺は後ろに転がりながら立ち上がった。


「セ〇クスでもしたことないくらいに腰を動かして石のとこまで移動した自分を褒めてあげたい。」


反撃開始である。

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