第17話 拠点強化?
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翌日、更なる強化を施そうと太い木の棒を探し歩いていた。今まで所々で見つけてはいたがそれなりに太かったため拠点の材料を集めるには非効率だと判断していたのだ。なにせ、2本も持ってしまうと石斧と尖った木の棒も合わせると両手でいっぱいいっぱいなのだ。
焔はツタを利用して背中に尖った木の棒を括り付け、腰に石斧を差せるようにした。そうしたうえで太い木の棒を拠点に集めた。一度拠点を作ってしまっているために中に入れるのも一苦労である。
だが、焔はこの太い棒を持ち運んでいる時からどうやって地面に突き刺そうか考えていた。現実的に石で叩いたところで深く刺さらないのは分かり切っているからである。本当に深く差すなら日本でいう大ハンマーが必要だと感じたからだ。しかもそれは先を尖らせて地面にめり込みやすい状態にしないといけないとも考えていた。
「なんか、やりたい事が頭にあるのに道具が無い。分かってはいたんだ・・。でも何故か集めてしまった・・・。」
一種の現実逃避だったのだろうかと焔は考えた。がしかし、どうにか補強しなければマズイというのも事実。
ムキになって石で頭を叩いてみるか?棒の先端を石斧で削ってみるか?それとも1m近く穴掘って差して埋めてを繰り返すか?
「・・・・・・・・・・・・・・・・。」
考えた全ての選択があまりにも労力が大きいのを感じた焔は、拠点の強化を一旦放棄した。
「食料もまともに無いのに、先に疲労で死んでまうわ!」
目の前に転がる2~3メートルの木の棒はそのままに水を飲み拠点の内側で座り空を見上げた。
(洞窟を形作っている壁は高さが多分20mくらい、しかも左右共にずっと続いているよなぁ。いったい上はどうなってるんだよ)
突然この地に現れた焔は知るはずもないが、この地はエルグランド大陸にある「分断する大森林」と呼ばれている場所である。その理由は南北にある山脈の間に何か意味があって陥没したかのようなエリアだからだ。しかもそれは山脈の間をきれいに分断しており、どこを通っても必ずほぼ垂直の崖を下りなければならない。その問題をクリアしたとしてもこの森を東西に横断するには約80キロ近く歩く必要があり、しかもこの森には多くの動物や魔物が徘徊している。中には軍隊で戦わなければならないような魔物もいるといわれている秘境ポイントなのである。過去にはここを横断した猛者達もいるようだが。
この森を脱出するなら、目の前にある切り立った断崖を登るのに注力した方が良いのであるが焔が知るよしもなく・・・。
「とりま食べ物探す方が先だな。ゴブリン達が木の実集めてたってことはどこかに木の実の成る木があるはずだ。」
木の実を探す事に決めたのだった。
何故なら、もう明日には木の実が無くなるからである。