第14話 三つ巴と見せかけて
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俺はゴブリン達が襲い掛かる前にオオカミ達の所に向かって走り出した。正確には向かってオオカミ達のやや右だ。それを見たゴブリン達は「ギャー!」と叫びながら斜めに迫ってくるが身長の大きい俺の方が走るのは早いようで、斜めにショートカットしてきていても距離を稼げそうなほどスピードに違いがある。
いきなり走ってきた俺にビックリしたオオカミ達が食事をやめ、攻撃態勢に入っているが俺は攻めてこなさそうな微妙な距離(俺的感覚)を保ちオオカミ達の側まで来た。斜めにショートカットしたゴブリン達がオオカミの目の前にやってきた。
(よし!作戦成功だ)
位置的にはゴブリン・オオカミ・俺で一直線に並んでいる状態だ。ゴブリン達もまさかオオカミがいるとは思わず、「ギャギャ」とか言いながら他のメンバーを手で制するようにして足を止める。が、自分の仲間が食べられていると分かった瞬間に「ギャギャ!」「ギャ!」と指をさして何か言い合っている感じだ。
オオカミ達は、いきなり近くに来た俺にも当然警戒しているが大勢で現われたゴブリン達を相当警戒しているらしく食事をやめ4体はゴブリン側に2体は俺へと身体を向け唸り声を上げている。
試しに俺は関係ないよの雰囲気で後ろに下がってみたら、オオカミ2体はゴブリン側に向きを変え戦闘態勢に移った。
「ギャギャギャ!」「「「「ギャー!」」」」
やっちまえ的な感じでゴブリン達が武器を高らかに上げオオカミ達に迫った。
(うーん、オオカミも厄介だけどゴブリンは10匹以上いるからなぁ。槍持っているやついるし、なんかオオカミ負けそうな気がする。)
そう思った俺は、戦闘箇所を大きく迂回しながらゴブリン達を側面から襲うことに決めた。ゴブリン達が俺に気づき、その内3匹が迎撃態勢をとった。他のゴブリンは武器を振り回しながらオオカミが懐に入らないように牽制している。ゴブリン達の対応が意外にもしっかりしていることに驚きながら、側面からの迎撃をあきらめ更に後ろに回り込もうと走り出した。
ゴブリン達も俺が動き回っているのが気になるらしくチロチロみて確認いるのが分かるが、逆にそれが隙になったのかオオカミ達がゴブリンに飛び掛かっていった。それを見た俺もゴブリンの1体に襲い掛かる。
ゴブリンは前はオオカミに後ろは俺に襲われ、てんやわんやしていた。しかし、ゴブリン達もやられているだけではなく、首に噛みついてトドメをさしているオオカミに対して他のゴブリン達がタコ殴りして殺している。そしてそれをさらにオオカミが攻撃している。さらに俺が追撃してゴブリンを殺している。
という混戦状態になっていた。ただ俺は怪我するとアウトだと思っているので、積極的ではなく自分も攻撃されたら躱しやすく更に狙いやすい個体を選んでいる。
大体オオカミ1に対してゴブリン2の割合で死んでいっている状態で戦況は進み、現状オオカミ3にゴブリン7、俺1である。何度か危険な局面もあったが、そろそろお互いの消耗も激しく(俺以外)戦いも終盤に差し掛かった時にそれは起こった。
ドドッ、ドドッ、ドドッ・・
少し遠くから馬が走っているような音が聞こえたのである。
馬?
って思うのも束の間、草むらから飛び出してきたのは高さ1メートルちょっとありそうなドデカイ猪だった。イノシシの口からは牙が生えており、突撃をかましながら牙を下から上に掬い上げゴブリンの脇腹を突き刺しゴブリン集団を崩壊させた。