部屋の中心で哀を叫んだものの
あらすじ
突然めまいがし、俺は倒れた・・・
俺の視界が下がっていく。
壁から床へとどんどん下へ。
意識が朦朧としつつある。
俺の命もこれまでか?
あぁ、ある意味孤独に死んでいくのか。
俺の後頭部に柔らかさを感じる。
まるで雲の枕に埋もれているみたいだ。
次第に視界が戻ってゆく。
奥に広がるのは天井か。しかし、もっと近くに何かがある。
壁・・・いや、体だ。人間の体。
少し上には顔が・・・
こっ、これは!・・・女子だ!女子の上半身だ!
何故、女子の上半身が・・・それもアオリのアングルで!?
状況から考えて見よう。
視界にはアオリの女子。
後頭部には柔らかさ。
俺は倒れた。
膝枕だ!!?!
間違いない!膝枕だコレ!
「あっ!気付いた!」
「あっ、あぁうん。・・・ありがとう。」
・・・この「あっ」から始まるの直した方が良いな。
「よかった~! ホント心配したんだから!」
これが幸せってやつなんだろうな。
俺は今まで縁のなかった「人の優しさ」を堪能した。
とりあえず家に帰ることにした。
親を呼ぶかと聞かれたが、親程ボロが出た際に面倒な展開になる人はいない。
俺は一人で帰路についた。
おそらく倒れた原因は寝不足だろう。
常に興奮状態で、「回復」の機会が皆無だったし。
しかし、人生っていいものだな。
・・・人生っていいものにできたんだな。
俺はここ2日の素晴らしい人生を振り返った。
・・・にしても、膝枕かぁ!
いやぁ、良い体験したなぁ!
これはアレか!バブミとかいうやつか!
キモイと思っていたが、食わず嫌いは良くないな!
・・・キモイことに変わりはないがな!
「・・・やっぱりこれじゃ駄目だ!」
俺は自室で声を上げた。
こういうのは口から出す方が勢いが出るのだ!
「俺はこの世界が好きだ!」
「きっと幸せな人生となるだろう!」
「しかし・・・違うんだ!」
「俺たちは・・・俺は・・・キモイんだ!」
「気に食わんあいつらが正義で!俺らはクソ!」
「そんな世界であるべきなんだ!」
恐ろしく暗い思考回路だが、俺は光に満ちていた。
「あいつらが正しい!俺らは死ね!」
「決して正しい世界ではないが!」
「正しい世界であってはならないが!」
「そんな世界で生まれたみんなが好きなんだ!」
「俺らが正しくあっちゃいけないんだ!!!」
「どうしたのいきなり!?」
親フラだ。
「・・・いや、何でもない。」
「何か悩みでもあるの?」
すっげぇ。
心配されるんだ。この奇行が。
「いや、ホント大丈夫。 ごめん。」
「・・・大丈夫ならいいけど・・・いつでも聞くからね。」
俺はとりあえず外に出た。
家は危険だ。
都会に行ってみよう。
世界を見てみよう。
俺は駅に向かった。
つづく