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 終業時間になって、夕飯を食べるお店に向かった。ビジネス街から少し歩いていくと、飲食店が軒を連ねる区画があって、お昼時や仕事帰りのこの時間はビジネスマンやOLで賑わう。


 そのうちの一軒、オシャレなイタリアンのお店に周吾さんは入った。私も、少し後から続けて入る。予約はしてなかったみたいだけど、幸い席は結構空いていた。定時後すぐの早めの時間だから、ひょっとしたらこれから混んでくるのかもしれない。


「ここの石窯ピザがすごく旨いって、隣の課の奴に聞いたんだ」


「じゃあ、ピザは絶対頼まなきゃね! 定番のマルゲリータがいいかな?」


「それからテーブルワインや、前菜にカプレーゼもどう?」


「ぜひ! どれも美味しそうだから、食べたいもの全部頼んだらお腹が足りなそうだわ」


「程々にしとけよ?」


 彼は優しく笑う。ああ、やっぱり周吾さんが大好きだ。まるで輝いて見える笑顔に、思わずメニューで自分の顔を覆う。

 私は注文を終えて、料理より一足先にきたワインを飲んだ。


「うん、美味しいね。君と一緒だから、なおさらなのかもしれないけど」


「さらっと、そんな嬉しいこと言わないでよ」


 うん、本当に美味しいワイン。一緒にいるから美味しいって言うのも、同じ気持ち。それに周吾さんが選んだワインだから、美味しいんだわ。

 その後運ばれてきたカプレーゼもマルゲリータも、パスタもドルチェもとても美味しかったし、とても楽しい夕食になった。でも、ちょっと頼みすぎ。あなたと同じものを全部食べるとお腹はパンパンになってしまったわ。もう一口だって入らない。


「そういえば、もうすぐバレンタインだけれど、その日お食事に誘ってもいいかしら?」


 そう、もうすぐバレンタイン。サプライズで手作りチョコレートケーキを用意する予定。お菓子作りは得意だから、きっと気に入ってくれるわ。


「もちろん! というか……実は十四日は、ちょっと期待して予定あけてたんだ」

周吾さんは少し照れた感じで、自身のうなじ辺りに手を置く。そんな仕草はとっても可愛い。


「じゃあ、そのまま開けておいてね。それから、他の女の子からチョコ貰わないでよ?」


「それは、うーん、職場内での付き合いもあるからなぁ……」


「冗談よ。言ってみたかっただけ」


 私以外の女からチョコなんてもらって欲しくはないけど、義理チョコは仕方ないよね。中には本命チョコもあるんだろうけど。

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