表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/7

3

 午後の十五分ほどの小休憩の時間は大抵、仲良しの女子社員でつるんで自販機や給茶機のある休憩室に行く。コーヒーを飲みながら、テーブルの一角を陣取っておしゃべりをしていると、周吾さんも飲み物を買いに休憩室に入ってきた。買うのはいつも決まってコーラ。そんなちょっと子供っぽいところにも、キュンとする。


「ねえ、ミキちゃん」

周吾さんは、親しげにこちらに声をかけてきた。


「仕事が終わったら夕飯一緒にどう? いい店教えてもらったんだ」


また外食? それより、そんなに大胆に誘ったら付き合ってるのバレるよ?


「ええ、いいけど……?」


私の手料理は気に入ってくれなかったのかな。


「よかった! じゃ、終業後にね」


 彼は嬉しそうに言って、コーラを手に休憩室を出た。残された方には、女性社員からの視線が集まる。


「ちょっとぉ! いつの間にか仲良いじゃない!」

「食事に誘われる仲になってたなんて、抜け駆けしたわね?」

「周吾さん、私も狙ってたのにぃ!」

一緒に休憩をとっている女性社員たちは、口々に言った。


「え、そ、そんなんじゃないよ!」


「だって他にもこんなに女がいるのに、彼が声をかけたの、ミキちゃんだけよ?」


「あの、前にね、仕事手伝った時に、いつかそのお礼をしてくれるって言ってて。それだと思う」


「へぇぇ。あやしいぃ」


「もうっ、なんでもないから! ほら、休憩時間終わっちゃうよ!」


 時計を見ると実際にもう休憩時間は終わりで、みんなで慌てて休憩室を出る。ふふっと私は内心で笑った。いい店ってどこだろう。周吾さんとの食事がとても楽しみ!

  私は自分のデスクに戻ると、イヤホンを片耳につけた。かなり自由な社風だから、音楽を聴きながら仕事をする人は結構いて、こうしていても咎められることはない。流れてくる音を聞きながら、定時までに終わらせるべく残りの仕事に取り掛かった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ