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狐面は伊達じゃ無い!  作者: 遮二無二
4章 激闘!支配の魔眼!
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第47話 苦戦のLonely!

「……折角のお誘いをお受けしたい所ですがねぇ……ふふふ、私は少し外させて頂きますね。……生かして捕らえなさい」

「……ハイ」


 俺の顔すら見ずに背を向けてダンスホールを出るヴィーボラ。

 そして奴の呼んで出てきた相手はよく知った()()()()()


「館をいくら探しても居ないと思ったが……やっぱりそう言う事か……ウィル、アル……!」


 虚ろな目ををしていて体をゆらゆらと定まらず、まるで操り人形のようにされているウィルとアル。

 俺の前にはそんな二人が立ちはだかる。


「悪いけど本気でやらせて貰うぞ……!」

「……」


 俺は先ずはアルの方へと身体強化【疾風(はやて)】を掛けて急接近する。

 先に遠距離や援護で邪魔をしてくるアルを早急に倒し、その後ウィルを対処するつもりだ。


「アル、少し眠っててくれ!」

「……」


 俺はスライディングの要領で体を沈みこませ、水面蹴りで足元を狙う。

 ルナリアさんに掛けて貰った強化も相乗してかなりの速さで接近したのでアルは反応しきれていない……と思ったのだが、突然俺は突風に吹かれて体が吹き飛ぶ。


「くうっ!?」


 なんとか飛ばされた先で着地するも、アルには指一つ触れることが出来なかった。

 あれは確実にアルの魔法だが、しかしいつもの魔法名は宣言していない。

 それに何故先程の俺の速度に対応出来たのだろうか? くっ、考えている時間は無いっ! ええい、こうなったらゴリ押しだ!


「……!」

「のわっ!」


 背後に気配を感じてしゃがみこむとウィルの拳が頭上を通過していた。

 いつの間にかアルと離れ、いつものようなウィルが前衛、アルが後衛というスタイルに持ち込まれてしまったようだ。


「お前は後だ!」


 俺は逆立ちのように腕をバネにして両足でウィルを蹴りあげる。

 しかしヒットする前に後ろに跳ねていたのでダメージは殆ど無いようで、受け身を取りながらすかさず立ち上がる。


「こうなったら怪我しても文句を言うなよ!」


 俺は身体強化の能力を解除して、能力【操影】を発動する。

 自分の影に魔力を送り込む事で陽炎のように蠢き、いつでも形を変えられる準備を完了した。


「影柱!」


 俺はアルの方へと走りながら拳を突き出す。

 しかし、狙いはアルでは無くウィルの方で、影で構成された柱はウィルの方へと高速で真っ直ぐ飛んでいく。

 ウィルはそれを受け流すように捌くが、俺の狙いはウィルの足止めであり、本命は先程と同じくアルだ。

 俺は走りながら影へと手を突っ込む。

 まるで粘度の高い液体の中に手を入れたような感触がする。

 そして俺は自分が思い描いた物が手元に寄せ、それを影から引き抜く。

 タマモに言われ、様々な事を試した中で発見した【操影】の能力の一つ、影の中に少しだけ物をしまう事が出来る力で俺は牢屋で引きちぎった鎖を一つアルへと思い切り投合し、同じように影からクナイを数本取り出して波状攻撃の如く次々と投げていく。

 だがアルに当たる直前、先程と同じように突風が吹き荒れて鎖の軌道が逸れて狙いが外れ、それと同様にクナイも撃ち落とされていく。


「やっぱりな! 魔法って何も言わなくても発動出来るのかよ!」


 あの魔法の正体は俺は知っている。

 ブリーズシュートと言う風の塊を撃ち出す魔法だ。

 しかし、今回アルはそれを放たずに体の周囲に漂わせて防御に使っているようだ。

 しかも魔法を極小のサイズにして過剰な魔力を注ぐ事で何かに触れて反応すると暴発するようにあえて発動しているらしい。

 しかもブリーズシュートは元々見えにくい上に、極小サイズにされているので視認が非常に難しい……と言うか夜だとほぼ無理だ。

 今まで使った事の無い、アルが使わないような魔法ですごい意地が悪い……一体誰がこんな魔法の使い方を教えたんだ……!


「だったら接近戦だ!」


 次は身体強化【剛力】へと切り替え、床が抉れるほど踏み込みアルへと突進する。

 速度は身体強化【疾風】に劣るが、ブリーズシュートに吹き飛ばされる前に強力な踏み込みで威力が乗ったスピアータックルでアルを戦闘不能にするつもりだ。


「うおおおぉ!」


 最後の一歩、床を踏み砕きながら低姿勢でアルへと向かってスピアータックルが決まる瞬間、俺の視界はぐるんと回る。

 何が起こったか分からないが、俺は本能のままに身体強化【鉄壁】に切り替えて床を転がる。


「ふっ、うっ、ぐっ……!」


 勢いが中々殺せずにかなりの距離を転がりながらもなんとか体制を立て直す。

 先程の状況で何が起こったのか分からなかった俺はアルの方に視線を向ける。

 そこには両手を横に広げたウィルが立っていた。

 まさか、俺のスピアータックルの勢いを利用して捌かれた……!?

 そんな考えが過った瞬間、俺の頭上から次々と火球が降り注いできた。

 俺はそのまま転がって回避し、その勢いを利用して立ち上がる。


 片方に目を離せば片方が襲い掛かり、片方を襲えば片方が守りに来る……


「お前ら敵に回すと厄介過ぎだろ!」


 俺は心の底から思った事が勝手に口に出た。

???『くしゅん、誰か私の噂でもしたのか?』

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