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狐面は伊達じゃ無い!  作者: 遮二無二
4章 激闘!支配の魔眼!
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第45話 困惑のLip?

「な、なんれ……」


 突然のルナリアさんからのキスで腰を抜かした俺はその場でぺたんと座り込んでしまう。

 思考はどうして、どうしてとぐるぐる回り、何も考える事が出来ない。

 顔は火が出そうな位熱くなり、耳まで真っ赤になって視界まで回り始めた。


「あ、ああ、ああっ……!」


 そんな悲痛そうな叫びを聞いて俺は初めて正気を取り戻した。

 ルナリアさんの顔を見てみると、顔を真っ青にして今にも倒れそうな位ふらふらとしている。


「る、ルナリアさん、だ、大丈夫です、か……?」

「最低……! 小児性愛、ペドフィリア、幼女趣味、少女愛……! 私は何故いたいけな少女にキスをしたのでしょうか……!? これでは強婬、貞操蹂躙そのもの……!」


 どうしよう……半分以上言っていることが分からない。

 人は自分以上に取り乱している人が居ると冷静になるようで、

 さっきまでの緊張やら何やらは全て何処かへと去ってしまったようだ。


「あの、ルナリアさん?」

「あ、ああ、ゆ、許して下さい! 決して故意では無いんです! 体が勝手に……! あ、余計質が悪く……! 私は同性愛者じゃ無いんです、本当です……! 私、ファーストキスですけど同性ならきっとノーカウントですから……! あれ、私は一体何を……!?」

「取り敢えず落ち着いて下さい。それに、その、俺も嫌では無かったですし……」

「え? ゆ、許していただけるのですか」

「は、はい。と、取り敢えずその話は止めましょうっ」


 完全にパニックに陥ったルナリアさんは何故か勝手に墓穴を掘っている。

 そ、それにしてもルナリアさんもファーストキスか……

 さっきの唇の感触を思い出すだけで顔が熱くなってくる。


「俺はイズナ、狩人(ハンター)です。この館の主ヴィーボラから逃げてきた所ですけど……ルナリアさん、貴女は?」

「私はルナリア=スターク、ネーベルの住人です。その、お見苦しい所をお見せしました。……ここではヴィーボラの手の者に見つかります。どうか中に」


 ルナリアさんは部屋に先に入ると小さなランプに火を灯す。

 そして俺はルナリアさんに勧められるまま高級そうな椅子へと座る。

 周りを見回してみると部屋にはいかにも高価そうな調度品や家具が並べられている。


「その、ルナリアさんは良いところのお嬢様で……?」


 取り乱している時は除き、歩き方等の気品溢れる立ち振舞いに俺は聞いてみる。

 そうするとルナリアさんはクスクスと笑い否定する。


「私はただの庶民ですよ。ですがヴィーボラに気に入られこの部屋に軟禁されていますが……」

「軟禁……それでヴィーボラ……奴は何者なんですか?」


 ルナリアさんなら何か知っているかもしれない。

 奴の目的は結局分からないまま俺は逃げ出してしまったせいで、あいつが何故このネーベルを支配しているかが謎だ。

 何かイライラするんだよなぁ、こう意味が分からないものに巻き込まれると。


「ヴィーボラ……彼は支配の魔眼を持った蛇の魔人です」

「……蛇の魔人」


 また魔人か……それは人間と魔物や他の生物の両方の性質を持ち、()()()()()()()()()()生物だとアルに聞いた。

 そして通常時の姿が人間の姿に近ければ近いほど非常に強力な個体との事。

 つまりとんでもない大男の魔人であったスピーノは魔人の格としては下の方に入るらしい。

 しかしこの男は瞳以外は普通の人間と言うことは、もしやかなり強いのでは……?


「魔王ってイズナちゃんは知っていますか?」

「魔王? 知らない……かな?」


 うーん、何だろう聞いたことは無いけど大方魔人の王様って所だろうか。


「魔人族の中で一定以上の力、もしくは戦力を持っている者の称号で、ヴィーボラはそれを目指して人々を支配していると言っていました。彼は身を隠しやすいこの霧に包まれた里であるネーベルを拠点として選んだのでしょう。手始めにネーベルの対魔ギルドを襲撃し、そこから支配した狩人(ハンター)を使いこの里を掌握したのが今の現状です」

「それで宿屋の主とかは魔眼で操られていない訳か……ネーベルの最高ランクの狩人はいくつの人ですか?」

(フェム)でしたがその方はいち早くヴィーボラの襲撃に気付き戦いましたが、支配された人々に多勢に無勢で負けて殺されてしまいました……その、イズナちゃんはランクはおいくつですか?」

「俺は(オッタ)です」

「そう……ですか……」


 俺はアルストでアースクロウラーを倒した以降狩人(ハンター)のランクは上昇していない。

 ストラーナの魔人の件を王都で説明するまで、一部の面倒な人に目をつけられるからランクを上げない方が良いとアドバイスされたからだ。

 一応俺達のパーティーであるフルールドリスはランク以上に実力は有ると思うので、操られている人にはある程度の人数までなら一斉に襲いかかってきても多分勝てるとは思う。


「イズナちゃん、お願いがあります」

「お願い?」


 俺が支配されている人達に勝てるかどうかを考えているとルナリアさんは真剣な表情で俺を見つめる。

 俺は真っ直ぐな視線を受けると思わず先程のキスを思い出してしまうので目を逸らしてしまう。


「このネーベルからどうか一人で逃げて下さい。そしてこのネーベルの現状を何処かへと伝えて下さい」


 ルナリアさんは不安そうな声音で願い事を言う。

 普通だったら自分もこの状況から逃げたいと思っていてもおかしくは無いのに、俺一人で逃げて助けを呼んで欲しいと言う表情は、本当は怖くてたまらないといった、怯えのような感情がわずかに含まれていた。

 だったら俺の答えは一つだ


「嫌だ。俺は戦う」


 俺ははっきりと逃げる事を断った。

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