第24話 再・開・約・束
旅立ち当日。俺らはアルスト北門に居る。
そこには仕事を一時中断してやって来たユリ姉がいた。
「イズナちゃん! これあげるね!」
俺はユリ姉からネックレスを受け取って確認してみると、これは……百合の花の紋章だろうか?
「【フルールドリス】だから百合の紋章をあしらったものよ。私も同じものはを持っているの。これで離れていてもイズナちゃんとお姉さんはどこでも一緒よ。だから大切にしてね」
「ありがとうユリ姉!」
俺は早速首に着けてみる。
ユリ姉はそんな俺の様子を見て満足そうに頷く。
「どういたしまして。イズナちゃん。たまにで良いからお手紙頂戴ね。私からは旅で転々とするイズナちゃんには返送出来ないけど」
「分かった。手紙、絶対に出すよ」
「ええ、楽しみにしてるわよ。あーあ、お姉さんもイズナちゃんと一緒に旅に出られれば良いのになぁ」
「でもユリ姉は戦いには向いてないでしょ?」
「残念ながらそうね。ふっふっふん、でもお姉さんって戦闘はからっきしだけど実は凄い人なのよ」
「凄い?」
「確かに凄い方ですよ。ユリィさんは」
アルが横から話掛けてくる。
ユリ姉の凄い所って何だろう? あまり運動神経は良さそうでは無いけど……
「どうして?」
「実はユリィさんはこの街で随一の治療魔法の使い手なんですよ。魔法の中で傷を治癒出来るのは適性持ちが少なく、貴重な光属性のみなんです。僕も何度か外回りで魔物と戦闘して怪我した時に何度かお世話になりましたけど、他の街でも殆ど見た事無いレベルの治癒能力の高さでしたよ」
「うむ、俺もアースクロウラーに負わされた傷を一瞬で治してくれたな」
アルとウィルが太鼓判を押すほどの治癒魔法の使い手? 知らなかったな。
「えっへん。イズナちゃんは覚えてる? ぎっくり腰になったハワードのおじ様を一瞬で治療したのはお姉さんよ」
あー、あったなそんな事。
確か俺がギルドにハワードさん運んだ後に確かギルドマスターが〝ユリィ、ハワードを治療してやってくれ〟とか言ってたような?
ユリ姉がハワードさんの方に行ったら直ぐにハワードさん動けるようになってたっけな?
「じゃーん、見て見てイズナちゃん。聖女教が定める【治療師】ランクが記されたカードよ。ギルドカードと一緒のランクがあるの」
へー、つまりは10から1まで有るって事か。
ユリ姉のランクは何だろう?俺はカードをまじまじと見てみる。ふーん3か~って、ん?
「3!?」
「イズナちゃんはアルストで傷を負った事無いからお姉さんの治療魔法の凄さ知らないもんね~勿論怪我しないことは凄く良いことだけどね」
3って上から三番目のランクだ。
対魔ギルドのギルドランクなら超一流も良いところだ。
そんな凄い力を持っていたなんて本当に知らなかった。
ユリ姉ってそんなに凄い力があったんだなぁ。
「大体の治療魔法や能力持ちの人は聖女教専属の治療師になるか対魔ギルドの狩人とかに所属するんだけどお父さんが危険な事は止してくれって聞かなくてね。だからお姉さんは受付嬢をやっているのよ。まぁお姉さん治療魔法が上手過ぎて聖女教から今でも勧誘があるの。この街が好きだから遠慮します。って断っているけどね。一応ランクを測るのはやらせて貰ったらこのランクを貰ったのよ」
「因みにランクが3クラスの治療師は四大大陸合わせても100人居るか居ないかのランクですよ。職にはまず困りませんし、何なら王宮で雇われていても何ら不思議では無いですよ」
「ふふん、そう言うことよ。だからイズナちゃん。一緒には行けないけど、怪我したら脇目も降らず直ぐに帰って来てね。頼りになるお姉さん全力で治療してあげるわよ」
「うん。怪我した時は直ぐに引き返して来てユリ姉に治して貰おうかな……なんてね」
俺達はお互いに見合って笑う。決めたからな、別れの時は笑顔で……って。
「イズナちゃん、またね!」
「うん、ユリ姉、またね!」
【さよなら】なんて言わない。俺達はまた出会うんだ。
いつか、必ず―――――
こうして、俺らはアルストから旅立った。
一年近く居た、思い出深き街から……
「で、リーダー、次は何処にいくんだっけ?」
「イズナさん、リーダーは止めて下さいよ。いつも通りアルって呼んで下さい」
俺らは街道を行く。
何処までも広がる草原の真ん中の土を踏み固められて作られた道の上を歩きながら話す。
「それにしても何で僕がリーダーなんですか? 年上のウィルさんも居ますし、何ならこのパーティー作ったのイズナさんじゃないですか」
そう、昨日パーティーを組んだ際にリーダーを決める項目が有ったんだけどそれはアルにした。
俺が勝手に。
「ウィルには断られたし、アルが一番しっかりしてるからな。俺はあんまりリーダーってガラじゃないから。勝手に書いて悪かったよ」
「俺はあまり自分の村以外の事は知らない。大切なのは情報力、知識だ。それが一番持っているのはアル、お前だ。だから俺はお前をリーダーにとイズナに推薦したのだ」
「なるほど……分かりました。お二人の期待に応えれるよう頑張りますよ。あぁ後行き場所ですが、不思議な像がある村【ストラーナ】ですよ。歩いて数日は掛かりますよ」
「ストラーナかぁ。楽しみだ!」
「うむ」
俺らのパーティー【フルールドリス】は行く、未だ目にしたことの無い道を、それぞれの目的の為に。




