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狐面は伊達じゃ無い!  作者: 遮二無二
2章 集結!二人の男!
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外伝2話 何故彼は助けたのか

 私、長田悠莉(ながたゆうり)は少年漫画家である。

 大好きな兄の影響で私は少年漫画にドはまりしていた私は、やがて見る方から描く方になりたいと読者から作者に変わっていた。


 とある有名な漫画雑誌に若くして連載が決まって、人気も右肩上がりと、順風満帆の人生を送っていた矢先に兄は交通事故で死んでしまった。


「お兄ちゃん……また、お兄ちゃんが好きだった先生の漫画がまた休載しちゃったよ……」


 私は今、兄の墓参りに来ている。

 生前兄がこの作者は休載が多いから作者が死ぬ前に完結しないんじゃないか、そんな風に笑いながら話していた兄は好きな漫画が完結する前に死んでしまった。

 私は兄の好きだった漫画の展開を墓参り毎に語り掛けている。


「じゃあ、またその先生の連載が再開する頃に来るね。多分、一年後かもね」


 私は兄の墓から離れた時、急に目眩がする。

 あれ、おかしいな。

 先程まで体調は万全だったのに、やけに心臓の鼓動が速い気がして頭がくらくらする。

 まずい、倒れそうだ。

 近くに墓参りに来ていた人がいるはず、助けを求めないと。

 私が助けを求めようと声を出そうした瞬間空が急にピカッと光った。

 目が潰れるんじゃない無いかと言う強い光。

 その光を直視した私の意識はそこで途切れた。


(あれ、ここはどこ?)


 私は目が覚めると知らない草原に倒れこんでいた。

 太陽は天高く登り、私を照らす。

 太陽の高さを見るに正午辺りと時間を推測する。

 私が兄の墓参りに行っていた時間は夕方頃だった筈だから、最低1日は経っていることになる。


(やばい! 締め切りが!)


 漫画の事を思いだし、私は急いで立ち上がって服に着いた草を払いのけようとする。

 ん? 私は服が少し小さいような違和感を覚えた。

 まぁ気のせいだろう、気にせず上半身から草を払っていると。

 私はいつもはある感触を感じられ無かった。


 上着のワイシャツを捲り、上半身を確認する。


【な、無い。む、胸が……慎ましかった私の胸が無い!】


 胸と言うより薄い筋肉の着いた胸板ではないか!

 思わず声を出すと、自分の声では無い、男性の声がした。

 まさか……私は恐る恐るボトムと下着を広げて中をみる。


【つ、着いてるーー!】


 普段は大きな声を出さない私がびっくりするようなものが股間に着いていた。そう、男の人の象徴のアレだ。


 私、長田悠莉はなんと転性してしまったようだ。


【結局荷物は全て無くしちゃったみたい……】


 ここは一旦割りきって、自分が寝転がっていた周りを捜索するも、一つもそれらしき物は無かった。

 仕方なく私は身につけていた為、無事だった腕時計で方角を割り出し、とりあえず東側に歩いてみた。


 はぁ、編集さんにはなんて説明すれば良いのだろか。

 光を浴びたら男に……なんて絶対信じてくれないだろうな。

 まだ男の子が呪いの泉のせいで水を被ったら女の子なってしまう体質に変わってしまった。

 そう言った方が信じてくれそうである。


【360度見渡す限り岩と背の高い草原……いったいどこなのかしら。まるで日本じゃないみたい】


 少なくとも私は日本でこんな地形の場所は行った事がない。

 歩き疲れた私は近くににあった岩の側で座り込む。

 少し休もうかな。


「……! …………!」


【ん、何だろう? 人の声かな】


 私は声の聞こえた方に歩いてみる。

 一際大きい岩から様子を伺おうとするとヒュンヒュンと音を立てて上から何が降ってくる。

 半ば本能的に3歩後ろに下がると、私が居た所に目掛けて剣が勢い良く刺さった。


【うわっ!】


 私は剣に驚いて尻餅をついてしまう。

 こ、これ本物じゃないの?地面に深々と刺さった剣を引き抜いて見てみる。

 このズシリとした重量感、私が漫画のモデル用に買ったレプリカも同じくらい重いが、ここまで地面に深々と刺さるだろうか……いや、無い。


「くそ、剣が弾かれちまった!」

「フリッツ!逃げて下さい!」

「ここは私とアベルが足止めするわ!」

「お前らを置いて行けるか!」


 ……なんだろうか。日本語じゃない声が聞こえる。

 何処の国の言葉かな?私は今度こそ岩から頭を出して覗いてみる。


【嘘っ! あれってゴーレムじゃないの!?】


 自分の目を疑う存在―――そう、土塊で出来た体長5m程のボロボロなゴーレムのような存在が男女三人と戦っていた。

 まさかの私、異世界転性!? ならこの剣はあの茶髪の男の持ち物かな? 男女はゴーレムの胸から露出している珠を狙っているが、ゴーレムは片方の腕で庇いながらもう片方の腕で応戦している。

 男女は皆息が絶え絶えだ。


【わ、私は戦えないけど武器は返してあげなきゃっ】


 目の前の人間を助けれるのに見捨てる訳には行かない。

 しかし私はあんな化け物と戦える筈が無いので、とりあえず化け物の後ろから武器を投げてやろうと走ろうとする。

 しかし私は怖くて足が震えて動かない。


【い、イメージよ私! 化け物の後ろからぴゅーっと走って武器を返してぴゅーっと逃げれば良いのよ!】


 私は全力で大地を踏みしめる。

 なんだろう、男の子の体だからか、いつもより速く走れそう!

 と、思った矢先、私は一歩しか大地を踏みしめれなかった。

 そう、一歩目で何故かロケットのように自分が前方に跳んだからだ。


【キャァァァァア―――――!!!】


 みるみる私はゴーレムに迫って行く。

 このままではぶつかる! 私はがむしゃらに剣を前に突き出した。

 次の瞬間、私が前に突き出した剣はゴーレムの珠と体を突き破り反対側に地面に落下する。

 ゴーレムの体の破片を纏いながらズザザ!と地面に思い切り擦り合わせてしまい、痛みで涙目になる。


【痛い! 痛いわ!】


 私が痛みに呻いたが、ふと状況を思いだし、後ろ側を振り向いてみるとそこには土くれに戻ったゴーレムとポカンと口を開けて立っている三人の男女が私をみていた。

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